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映画 「シングルマン」 なんという素晴らしい映画!コリン・ファースの名演に涙涙です! [映画]

2週間ほどブログ更新をさぼりました。その間も、映画はポツポツ観てたのですが、出張と飲酒に忙しくってブログ放置状態というわけ・・・。ま、このイイカゲンさが楽しいのですな。

上映終了が迫った作品で恐縮ですが、本日は映画「シングルマン」について書きます。

結論から言っちゃうと、映画好きを自称される方なら、絶対に観るべき作品と申し上げましょう!ワタクシの本年観た映画TOP3(現時点)内にランクインです。(ちなみにTOP3他2本は「オーケストラ!」と、「瞬(またたき)」)

おおげさに聴こえるかもしれませんが、「シングルマン」観賞の1時間半、脳天がじーんとシビレルような感覚を味わいました。感動というか呆然というか。あまりに苦しく、切なく、それでいてどこか滑稽で滅裂で・・・矛盾や不条理をひっくるめた「人生そのもの」のダイレクトな迫力。

主演コリン・ファースさんの言葉を失うような名演技・・・こんなスゴイものを見せられたら、いったいどうすれば良いのだ!ため息しか出ません。ベネチア国際映画祭など賞総ナメも納得です。米アカデミー賞(主演男優賞)はノミネートはされたものの受賞は逸しましたが・・・(なぜ、受賞できなかったのだ!?プンプン!)。

いずれにしても、本作が目指した美意識・人間観に、コリン・ファースさんの存在感・経験が、天文学的確率でばっちりはまって生まれた稀有なる「結晶」であります。

こんな見事な映画がポコン!と登場するから、映画ファンはやめられないっすね!

シングルマン 2009年米 

監督 トム・フォード 出演 コリン・ファース、ジュリアン・ムーアほか

シングルマンP.jpg1960年代前半のロサンゼルス。ゲイの大学教授ジョージは、16年間を共に過ごしたパートナー(男性)を突然、交通事故で失います。大邸宅に住み、尊敬される社会的地位を持ち、傍から見れば何不自由のないジョージですが、深い悲しみと喪失感から、現世で生きる意味を見つけられず、ついに自殺を決意するのでした。

映画はジョージがピストル自殺を決意してからの1日を描きます。自らの手で死を選んだ彼の目にうつる、ごく日常の風景や人々。そして「彼」との記憶。いとおしくも、悲しい、セピア色の映像が胸に迫ります。(この映像の「色」にも工夫が感じられます)

隣家の子供たちの無邪気な笑い声。大学の講義で質問してきた美貌の男子学生へのふっとよぎる「想い」。かつてつきあい破局した女性チャーリー(ジュリアン・ムーア)との感情剥き出しの会話・・・主人公の末路はどうなるのだろう?という興味だけではなく、次々に現れるこうした一瞬一瞬の命の輝き、それが、映像に刻み込まれているのです。

繰り返しになりますが、ゲイの大学教授を演じたコリン・ファースさんは素晴らしいの一言に尽きます。一人芝居といってもよいほどの出ずっぱり状態。主人公の絶望を言葉でなく視線、表情、微妙な所作で表現する、この力量はなんだ!?

コリン・ファースさんといえば、「ブリジットジョーンズの日記」の弁護士、「真珠の耳飾りの少女」のフェルメール、「恋に落ちたシェークスピア」の領主とプチ情けない役どころのイメージがあったワタクシですが、「シングルマン」では一転、傲慢ともいえる初老の教授役です。本来ならガチガチのシリアステイストになるところですが、そこを彼独特の「情けないフレーバー」(?)をちょっとまぶすことで、この映画は光り輝いたのでありますね。まさに絶妙です!

シングルマン1.jpg

お気付きの方もいるでしょうけど、1950年代に「鬼火」というフランス映画がありました。「シングルマン」と同じように、ピストル自殺を決意した男(モーリス・ロネ)の1日を描いた作品です。「鬼火」は主人公のブッチョーヅラも災いし、救いようのないダーク&ウエットなハナシに仕上がっています。一方、「シングルマン」は、決してそうではありません。

シングルマン7.jpg

「シングルマン」は底なしの絶望を描きつつ、しっかり希望も描いている。そこが見識でありツボなのですね、で、話が戻りますが仮に主演がコリン・ファースさんでなければ、この成功はありえなかった、と断言したい。

愛とは、人間とは、生とは、そして死とは・・・・これほど核心に突っ込んでくる映画的アプローチもめったにお目にかかれません。ややもすると大上段に構えたくなるテーマを、過剰に演じず「空気」で表現するコリン・ファースさん・・・ああ、どこまで褒めても褒め足りないなあ!

シングルマン2.jpg

監督トム・フォードさんはファッション・デザイナーとして世界的に有名な方らしい。ワタクシ、全く存じ上げませんでした。「そちら業界」で功なり名を挙げ、趣味で映画監督に挑戦かよ、オイオイ、と色眼鏡で観ていたワタクシでしたが、映画を観終わって大反省です。脚本や俳優の見事さに加えて、監督の美意識とこだわりが、明らかに成功に一役買っているといえるのですから。

スイマセン、この手の映画にワタクシが駄言を弄したところで、未見の方を混乱させるばかりですね。とにかく、ぜひ映画館で本作を観てほしい。ひさしぶりの大推奨作品でありました!

名実ともに「名優」となった(?)コリン・ファースさんですが、是非とも、いままでどおりの(?)情けないコミカルな役もお願いしますねっ!!


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コメント 8

亮

こんにちは。
最近、忙しくて、こちらにうかがえていませんでした。

そうですか。
必見ですか!!
うーん、見逃してます。
はぁ・・・   瞬きも見てないし。

忙しいのに、映画を観るってことを忘れないアッシーさん。
素晴らしいです。
by (2010-10-24 10:05) 

ハッシュ

はじめまして。
レビューを読ませて頂き、本当に本当に感動しました。

この「シングルマン」を、スクリーンで三回、DVDで数十回見ている、
私にとって、素晴らしいコリン・ファースへの賛辞です。
お礼を述べるのは、おかしいですが・・・・ありがとうございました。

余談になりますが、コリンの次回作が、又々アカデミー賞候補に
なるだろうといわれている、「キングス・スピーチ」(仮題)で、今度は
前の英国国王ジョージ6世を演じています。
極度のあがり症と、吃音に苦しみ、それを克服していく物語です。

来春、日本でも公開されますので、よろしければご覧になって下さい。
by ハッシュ (2010-10-24 12:48) 

アッシー映画男

To 亮様、コメントありがとうございます。
この手のしぶーい人間ドラマって、上映する映画館が限られてしまうので、なかなか行くのが大変ですよね。
ワタクシは、お隣の浦安市にあるイクスピアリ(東京ディズニーリゾートに併設のシネコン)で拝見しましたが、うーん、ディズニーランドの明るいノリとは、かなりかけ離れた作品。
イクスピアリ、なかなかやるなあ・・・と、違うところに感心している次第。

亮様もお忙しいようですね。
忙しいときこそ、時間を捻出して趣味に走ってしまう、そんなワタクシなのでありました。。。たとえば、「あー、あれをやらねば・・・」と心に引っ掛かりを持ちつつ、映画館で映画を観ている、そんな自分のヤルセナサが楽しかったもします。

お互い、自分のペースで映画や趣味を楽しみましょう!
って、ワタクシのグズグズ生きざまに、人を巻き込んではいけませんね。
あぶないあぶない。
by アッシー映画男 (2010-10-26 05:30) 

アッシー映画男

To ハッシュ様、コメントありがとうございます。
当方のブログ記事に感動いただけるとは、いえいえ、そのお言葉をいただいたことで、ワタクシのほうが感動であります。
これぞ、感動の連鎖、メビウスの輪!ですね。

「シングルマン」は、間違いなくコリン・ファースさんの代表作になりましたね。
これまでは「ブリジッド・ジョーンズの日記」の・・・という肩書きで評価されていましたが。
それにしても、彼の、神がかった演技、度外れたインパクトはなんなのでしょう。どんな名優でも、役が与えられなければ輝きを放つ場がないわけですが、コリン・ファースさんを主役に選んだ人もスゴイですよね。

そして、あえて記事には書きませんでしたが、主役ジョージの「相手」の男性たちも、ゲイでない男性観客を惹きつける”魅力”を持っている。
ショッピングセンターで出会った、スペイン出身の若者も、出番少ないながら実に良いエピソードになっていますよね!

さらに(これも記事にあえて書きませんでしたが)、ジュリアン・ムーア演じるチャーリーが見事でした。一見、開き直ったかのような人生ですが、その底流に流れるジョージと同じ、いやジョージ以上かもしれない「孤独」と「絶望」・・・彼女はそれを、ジョージと分かち合うことで、自分を保っているのか。はたまた、それが彼女に残された唯一の「過去の人生に残せること」なのか。
ただし、彼女は、ジョージと違って、決して自殺を選ぶことはないと確信させる、その人生の色分け。
閉まるドアの向こうに消える、チャーリーの、最後の表情の見事なこと!

ところで映画予告編で、ジュリアン・ムーアの過去作として「ハンニバル」と紹介されていますが・・・おいおいっ!その映画かよ!とツッコミたくなりますねえ。

と、記事の続きのように長くなりスイマセン。

コメントに書いてくださった、コリン・ファースさんの次回作「キングス・スピーチ」、はじめて知りましたが、内容を伺っただけでメチャ期待しちゃいました。
コリンさんの「情けないフレーバー」が、「シングルマン」以上にいい味わいを醸し出しそうです(シリアスな映画だとしても)。

コメント&情報も、どうもありがとうございました!

超不定期に更新のブログですが、今後ともよろしくお願いします。
by アッシー映画男 (2010-10-26 05:50) 

Cecilia

この記事と予告編でとても観たくなりました。
コリン・ファースさん、おっしゃるとおり「情けないフレーバー」がなんとも言えず素敵な俳優さんですよね。あの優しい目元がいいです。
by Cecilia (2011-04-04 08:37) 

アッシー映画男

To Cecilia様、nice&コメントありがとうございます。
2010年公開映画のうちでも、「シングルマン」は別格の素晴らしさであります!
「英国王のスピーチ」以上に、コリン・ファースおじさんを堪能できますよ。映画が終わったときに「いやあ、スゴイものを見たなあ」という、なんともいえない満足感に包まれてしまいました。
ぜひ機会があれば、観てくださいね!
by アッシー映画男 (2011-04-10 21:57) 

chiko

はじめまして
新しくオープンしたレンタル店にあったので、ずっと見たかった本作を昨夜みました。想像以上に感動したので、誰かと分かち合いたくてここへたどり着きました。アッシーさんが私の気持ちを的確に表現してくれているので またまた嬉しくなって つい書き込みまで・・・ジョージとチャーリーのやりとりが特に良かったです。ただ最後は違っていても良かったのに、いえ、これが人生なのかも。(やっぱり私には感想はムリ)
他のレビューも読みました。参考にさせていただきます。
by chiko (2012-09-23 22:53) 

アッシー映画男

To chiko様、コメントありがとうございます。
この映画は本当に良いですね。ここ数年、私が観た映画のなかでもベスト・オブ・ベスト、といってよいです。
お涙頂戴の脚本や演出の映画も、その場(劇場)ではそれなりに感動するのですが、本作のように「後から思い出してもジーンとくる」作品はほんとうに珍しいですよね。
主人公に対して、最初は「なんだ、エラソーなやつ」と反発しながら見ている自分が、やがて主人公へ同情し、最後には激しく応援する気持ちになっちゃいますよね。
そして、chiko様の書かれたように、ラストの苦い気分、「これが人生」なんでしょうね。
言い方はベタですが、ほんとうに観客をのせるのが上手い!
上質な脚本、演出、演技が三拍子揃った映画、それが「シングルマン」でしたね~。いやあ、こうして書いていても感動がよみがえってきます。
コメント、どうもありがとうございました~。
by アッシー映画男 (2012-09-24 22:26) 

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