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あのカルト監督 デヴィッド・リンチの「ソロ・アルバム」に・・・うわわ評価ビミョー。 [音楽]

このブログで、久しぶりに映画ではなく、音楽ネタを書こうと思います。とはいえ映画がらみのハナシなんです。

今日取りあげるアルバム(CD)は、昨年11月にリリースされたかなりマニアックな物件です。

なんと、あのデヴィッド・リンチ監督のソロ・アルバムです!

リンチ監督といえば、「エレファント・マン」「ワイルド・アット・ハート」「ブルー・ベルベット」「マルホランド・ドライブ」といったダークかつ悪夢的な匂いのする”カルト映画”の大家ですよね。

「インランド・エンパイア」(2006年)以来、作品を観ていないなあ、もう引退したのかなあ、なんて勝手に想像していたら、いつの間にか音楽活動にご執心だった!それにしても、66歳という年齢で(というと失礼になりますが)、創作意欲が衰えないとは、アグレッシブなお方ですねえ~~。

ソロアルバムのタイトルは「CRAZY CLOWN TIME」・・・狂気の道化の時代ですか。いかにもリンチさんらしい(訳のわからなさが・・・)。アルバムジャケットも「運命」「痛み」「死」をイメージさせるリンチ色濃厚なアートワークです。かなり狙ってるな~~。

リンチCD2.jpg

映画人が関わるアルバムって、サウンドトラックや、既成曲を集めたオムニバスだったりしますが、本作は正真正銘、デヴィッド・リンチのソロアルバムと言ってよい内容です。

なにせ、リンチさんが楽曲を作詞作曲し、自ら演奏し(打ち込みもある)、歌っているのですから。

考えてみればリンチさん、若いころは画家を目指し、後年、個展もやったはず。映画の世界に身をおいてからも監督一筋ではなく、脚本を書き、俳優もやり、音楽にも手を出し、あげくにコーヒー豆の栽培までする(そこはどうでもいいか)、超マルチな才人です。音楽CDを発表したからと言って、驚くには当たらないんですね。

問題はこのアルバムを買うべきか、買わざるべきか・・・という「こちら側」の悩みであります。

リンチCD3.jpg

デヴィッド・リンチ監督の大ファンであるワタクシ。映画なら必ず劇場に足を運びますが、”音楽作品”となるとビミョー。もしも内容(楽曲、アレンジ、雰囲気)が映画と同様、不気味かつ陰々滅滅としていたら、2000円の出費は高いよなあ、と。

グズグズと悩んでもしょうがないので、エエイ、CD購入いたしましたぜ!どうだっ!

さっそく、自宅オーディオルームで、そこそこ大音量で聴いてみましたよ。

結果はどうかというと・・・うわわっ、まるで予想どおりやんか!

ゲストシンガーが参加している冒頭一曲目から、気味の悪いヴァイヴが炸裂です。音楽を楽しむ、という言葉からはほど遠く、気が滅入るようなダウナー系ブルージー・サウンド・・・映画的と言えば言えるかもしれませんが、悪夢的で出口無しの迷路にいるごとし。ちょっと寒気がしちゃいましたね。

予想的中は「やったぜ!」ですが、むしろ当たって欲しくなかった予想といえます。

念のために、アルバムを通しで3回聴きましたが、ますます「どう食いつけば良いのか」に困惑している状態ですよん。トホホ・・・。

こうゆう音楽を好きな方を否定しませんし、リンチ・ワールド全開という点で、ある程度はツボにはまったわけです。ただ、映画と音楽は別物ですからねえ・・・意地悪な見方をすれば、「リンチ印」で売ろうとするアザトイ便乗商品とも思えるわけで。

強いて本アルバムの効能をあげるなら、聴いているうち、過去のリンチ映画をもう一度観たくなったってことすかね。たとえば、こんな映画です・・・

映画館で私の脳天に衝撃が走った作品、86年の「ブルー・ベルベット」。イザベラ・ロッセリーニさんの怪しすぎる美しさに加え、デニス・ホッパーの狂気噴出っぷりがスゴイ。冒頭シーンの「野原に耳が落ちている」シークエンスにもインパクトあったなあ。

ブルーベルベット.jpg

次に、ナオミ・ワッツの美しさと”名演技”(←意味、おわかりですよね)に震えた01年の名作「マルホランド・ドライブ」。思い出すだけでゾクゾクする迷宮的世界でした・・・ああ、もう一度観たいっ!

マルホランドドライブ.jpg

ナオミ・ワッツさん、いいですねえ~(しつこい?)

マルホランドドライブ2.jpg

最後は06年の作品「インランド・エンパイア」。リンチ監督のお気に入り女優(であろう)ローラ・ダーンがしだいに精神を崩壊させていく展開の怖いこと。「マルホ・・・」に比べ、難解度合いを増してたけど、リンチ好きにとっては「辛抱たまりません!」。

インランドエンパイア.jpg

ソロアルバムから、ずいぶんハナシが逸れちゃったけど、とにかくリンチ監督に強くお願いしたいことは、映画の新作を作ってください!ってこと。うーん、この調子じゃあ、しばらくは無理かなあ。ソロアルバムのプロモーションと称して、コンサートツアーなんか始めないでくださいねっ。


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この映画女優が好きだ!・・・と、ちょっと懐かしいアクトレス列伝。 [映画]

先般。居酒屋で、映画仲間の女性と、果てるともない映画談議に花を咲かせていたわけです。

いつの間にか話題が「最近、スクリーンでお見かけしない女優さん」になりました。これがメチャ、私のツボにはまりました。アカデミー賞3回ゲットのメリル・ストリープさんは例外中の例外で、女優業で第一線にとどまるのは至難ですね。若手がどんどん登場しますから。ヒット作で脚光を浴びても、いつの間にか消えてゆく女優が大半でしょう。気づいてみると、あのひと最近見てないなあ・・・なんて、むしろ当たり前なんです。

口火をきった友人の言葉は「ジュリエット・ルイスって、今、どうしてるんでしょう?」。ワオオ~~、こりゃまたスゴイ名前が出ました!

ジョニー・デップとディカプリオ共演の名作中の名作「ギルバート・グレイプ」で、主人公ギルバートが恋心をよせる女性を演じたジュリエット・ルイスちゃん。出番は少なくても思い出すだけで、キュン、ときますねえ。決して美人ではないけどエキセントリックで独特の”雰囲気”を持った女優でしたねえ。

で、私は知っている!ヘヴィメタ野郎ですから。ジュリエット・ルイスちゃんは「ジュリエット・アンド・ザ・リンクス」というロックバンドをやってるんですぜ!もちろん彼女がヴォーカル。ぶっ飛び度は、女優時代の比ではございません。今の彼女、こんなんですから。

ジュリエットルイス1.jpg

もはや、ご本人かどうかの判別も困難であります。なにも、ここまで無理な姿勢をとらなくても良いのでは?ちなみに「ジュリエット・アンド・ザ・リンクス」は、コミックバンドではありませんよ、念のため。

さあて今回の企画は「最近、どうしているのかしらん?」というご無沙汰女優さんをアトランダム、思いつくまま書き連ねる、というもの。誰のことを書こうかなあ、とワクワクであります。皆様の心の琴線に触れる、あの方がいるかもしれませんねえ。

まずは、エミー・ロッサムちゃん(1986年生)であります。

そう、2004年のミュージカル映画「オペラ座の怪人」で、ヒロイン、クリスティーヌを演じてスターダムにのし上がった、歌の上手いあのコであります。

エミーロッサムさん.jpg

クリスティーヌのイメージが強烈すぎたか、エミーちゃん、どうも出演作に恵まれませんね。「オペラ座の怪人」の前後に撮影された「ミスティック・リバー」は映画は素晴らしいものの、彼女は登場するなり、すぐに殺されちゃう”被害者役”なので印象はほとんどなし・・・。

最後にスクリーンで観たのは、2年ほど前の「ドラゴンボール エヴォリューション」(日本アニメの映画化)の女戦士ですぜい。誰が演じたって同じやんか、という役でガックリです。そのうえ共演者をダメにする俳優=チョウ・ユンファとからんでしまった時点で”危険水域”に入ったといえます。「リプレースメント・キラー」のミラ・ソルビーノの二の舞にならなければ良いが・・・。

ちょっとだけ真面目に考えますと、エミー・ロッサムちゃんって、「お顔が間延び」してて、賢そうにみえないのがネックではないか。ポカンとしたお顔というか・・・表情が乏しく、にこにこ笑うのはOKでも、シリアスな人間ドラマに向かない感じ。うーーん、どなたかエミーちゃんにピッタリの役を探してくださいませんか。ここで、改めて「オペラ座の怪人」の名場面を観てみましょう。クリスチーヌ(エミーちゃん)が主役に大抜擢され、名曲「Think of Me」を歌って拍手喝采・・・というシーン。彼女の良さが出ていますよネエ。

次の女優さんに行きましょう。ヘザー・グラハムさんです。

現在42歳の彼女ですが、相変わらずお美しい(らしいです、見てないので分からない)。ヘザー・グラハムさんといえば、誰が何と言おうと「キリング・ミー・ソフトリー」で決まりでしょう。激しいセックスシーンが注目された本作ですが、映画のツボはヘザーさんの美しさ、それに尽きます。

ヘザーグラハムさん.jpg

もう1本、彼女の出演作で大好きなのが(世間的には、それほど評価されてないけど)、ジョニー・デップと共演した「フロム・ヘル」。彼女は娼婦役だったと思いますが、役柄とは裏腹に、お色気シーンほぼゼロで、美しさと清楚さがジンジンと響いてきちゃいました。舞台は19世紀、当時のコスチュームもばっちり決まってましたねえ。連続殺人鬼をテーマにしたスリラーなので、もしや彼女が殺されるんでは・・・とドキドキしたもんな。あの映画のヘザーさんは良いです。いや、ホント。

ヘザーグラハム1.jpg

演技派というより、美貌を売り物にする女優とみなされているので、年齢40オーバーは立ち位置ビミョーでしょうけど、是非ともスクリーンで再会したい女優さんです!

おや、ここまででかなり長い記事になっちゃいましたね。でも、かまうもんかい!

次の女優は、リュディヴィーヌ・サニエちゃん。1979年生まれのフランスの女優。2002年の映画「8人の女たち」で、可愛い女のコだなあ、と注目したんですが、カトリーヌ・ドヌーヴさんはじめ大御所との共演に全然ものおじしない「強さ」にも感心したものです。

サニエさん2.jpg

そして、2003年のあの映画、そう「スイミング・プール」で、”元祖脱ぎっぷりの良い女優”ことシャーロット・ランプリングさんを向こうに回し、サニエちゃんも脱ぐわ脱ぐわの大盤振る舞い。行きずりのおっさんとの豪快セックスなど必然性ほぼゼロのサービスシーンまで織り交ぜ、完全に前作の”可愛い”イメージを覆しました(やり過ぎ)。小悪魔というより、大悪魔ですな、この人。

サニエさん.jpg

そうかと思えば、日本でエステのCMに登場したり、バリバリのハリウッド映画「ピーターパン」に出演するなど、どこを目指しているか分からんサニエちゃん(まあ、この感じがフランス人らしいとも言えますが)。彼女も30代に入り、さて、今後どうゆう女優になっていくのか?が楽しみなんですが、残念なことに日本でほとんど出演作が公開されていない有様。責任者、出てこいーーと申し上げたい。

ちなみにサニエちゃんを見ると、若い頃のソンドラ・ロックさん(クリント・イーストウッド映画に多数出演)を思い出すのは私だけでしょうか?ソンドラ・ロックさんはこの方です。

ソンドラロック.jpg

さて、次行きましょう!デニズ・リチャーズさんであります。

ズバリのお色気美女であります。泣く子も黙るボンド・ガール。「007 ワールド・イズ・ノット・イナフ」で、どう見ても無理がある学者役を演じ、その年のラジー賞(最低主演女優賞)をゲットしちゃったツッコミどころ満載の美人女優さん。

デニスリチャーズさん.jpg

久しくスクリーンでお目にかかっていませんね。私生活がドロドロで映画出演どころではない、という説もありますが、デニスさんの「あっけらん」「ノーテンキ」なテイスト、嫌いじゃありません、いや、むしろ大好きであります!

”演技以前”とコテンパンに低評価されるのも分からなくはないが、いいじゃん可愛ければさ。ジェシカ・アルバちゃんを見たまえよ!

彼女の出演作で、ポール・ボーホーベン、あれれ、バーホーベンだっかたな、ベートーヴェン?じゃないね、ま、そんな名前の監督(代表作「ロボコップ」)が撮ったSF映画「スターシップ・ツルゥーパーズ」が大好きです。巨大昆虫軍団VS人類の壮絶な戦いを描いたスットコ映画ですが、観ようによっては面白い(どうゆうこっちゃ)。私の記憶によれば、デニス・リチャーズさんは、この映画で士官学校エリートのパイロットを演じたはず・・・ほらほら、どうして全然そう見えない女優さんに”知性的”な役を与えるんでしょう。そこがダメなんだってば。

小倉優子さんに大学教授役が合わないように、デニスちゃんに「空軍エリート」は無理あるでしょうって。まあ、そのギャップを楽しめってことかいな。いずれにしてもデニス・リチャーズさん、最近、とんとスクリーンでお目にかかっていませんので、昔とった「ボンドガールの杵柄」を活用してでも、ぜひ新作をお願いしたいっ!

さて、最後に「私が大好きだった女優」の筆頭、故リン・フレデリックさんの美しさで口直しといきましょう。「さすらいの航海」、良かったなあ。私生活ではピーター・セラーズの奥さん、てのが、いまだにひっかかるけど。

リンフレデリック.jpg

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映画 「POV~呪われたフィルム」 志田未来ちゃんと、川口春奈ちゃんが可愛ければいいじゃないか! [映画]

思いのほか仕事が早く終わり、外出先近くのシネコンに寄ると、この映画の上映10分前でした。「ちょうど、いいじゃん!」と、な~んの予備知識もなく(洋画か邦画かも知らず)、チケットを購入し拝見・・・観終わって、ああ、ブルブル。

乱暴にまとめちゃうと”学校の怪談”と、”ブレアウィッチ・プロジェクト”と、”リング”を混ぜて3で割ったベタな和製ホラーなんですね。ネガティブなコメントに聞こえたかもしれませんが、これ、決して駄作ではありません。

「バカバカしいわっ」と憤慨する方もおられるでしょうが、どうして、しっかり作られております。夜の中学校で悪霊に追いかけまわされるシーンなんて、素直に怖いもん(もうネタバレ)。映画にどれだけ感情移入できるか?が評価の分かれ目でしょうね、って、まとめすぎたかな?

本作の素晴らしい点は、ずばり、これ、

主演のおふたり、志田未来(しだみらい)ちゃんと、川口春奈ちゃんが可愛い!ということである。10代の主演女優が可愛い!それだけで良いじゃん、何の文句があるのよ!(と、語気を荒らげる)

本ブログで以前も書きましたが、ホラー映画で怖い目にあう主人公は、可愛くて初々しい女性に限るのであります。そこは、どうしても譲れないのであります。たとえば、アメリカン・ホラーで世の中をなめきったセックス好き高校生どもが、斧で殺人鬼に殺されようと、どーでも良いのであります。あんなヤツラ、死んでしまえばいいんじゃあ!(暴言?)

「この子が酷い目にあうのはかわいそう・・・」と思わせてこそ、ホラー映画であります。

その意味で、志田未来ちゃんと川口春奈ちゃん(あえて”ちゃん”付け)は、ホラー被害者に適役なんであります。ちなみに「川口春奈って誰すか?」という低アンテナ読者のため、今回に限り、春奈ちゃんをご紹介しましょう。(三井のリハウスポスターより)

川口春奈さん2.jpg

うーん、可愛いなあ。あれれ、大きなお世話でしたか・・・。

話があっちこっちに飛びましたね。少しは映画ブログっぽいコメントを書かなきゃ。

POV~呪われたフィルム 2012年 日本

監督 鶴田法男 出演 志田未来、川口春奈 ほか

POVP.jpg題名にあるPOVってなんだあ?と疑問が解けませんでした。PONといえばポンジュース、ですけど、POVなんて聞いたことありません。

調べてみると、Point of View、日本語で”主観撮影”と言うそうです。商業映画のように”神の視線”から物語が俯瞰的に描かれるのではなく、その場に居合わせた人物がホームビデオで撮影したという、最近流行りの体裁ですね。

低予算映画「ブレアウィッチ・プロジェクト」から端を発し、「アブノーマル・アクティビティ」など、画像ブレブレで画質も悪いけどリアル感が売り。考えようによってはちょっとアザトイ手法なんです。

しかし、今回の「POV~呪われたフィルム」は、題名にPOVを掲げるだけあって、この手法を上手に使っていて好感が持てました。(内容が内容なので、”好感”というのはビミョーですが)

女優の志田未来(本人が演じる)と、川口春奈(本人が演じる)が携帯向け番組「志田未来のそこだけは見ラいで」を収録する現場から映画が始まります。番組メイキングを作るため、ADさんがホームムービー用カメラで「収録の様子を撮影する」わけです。

この日の収録は、志田さんと川口さんが「視聴者から送られてきた心霊ビデオ」を観てコメントするという企画です。志田さんは怖いもの大嫌いなのを仕事だと頑張ります(けなげだ・・・)、が、そこに写っていたものは・・・そして、ビデオを再生したことから二人(+スタッフ)を襲う恐怖体験とは・・・。

投稿動画に写っていたのは、なぜか川口春奈さんの出身中学校。女子トイレとシャワー室でした。紆余曲折の末、取材と称し怪談話が絶えないその学校を訪れた面々。そこで明かされる”真実”・・・には、ちょっと無理があるけど、後半の盛り上げ方はナイスですねえ。

POV2.jpg

前出のように、志田、川口&撮影スタッフが、夜の校舎で、悪霊たちに追いかけられる終盤がリアルです。パニック状態になった中学の先生が「ありえない!」を連発して頭を抱えこんだり(なるよねえ、そうゆうふうに)、全員が離れ離れになりたくないっ!とひと塊りになるところ、腑に落ちるわけです。

アメリカ映画にありがちな、主人公の謎の行動、いかにも悪霊がいそうなところに自ら入っていく(どんな好奇心だよ!)とは大違いであります・・・って、そこを高評価もどうかと思うが。

悪霊の親玉(?)が「リング」の貞子っぽいのはご愛嬌として、映画のオチは「そこまでするか」のやりたい放題。蛇足とも言えるシーンですが、志田さんと川口さんは、撮影中、まじ怖かったのではないでしょうか。

番組メイキング映像という体裁ゆえ、主演のふたりはほぼ画面に出ずっぱり状態。過酷だったと推察します。走ったり、叫んだり、怒ったり、めいっぱいの頑張り。プロ根性に拍手を送りたいです。

POV.jpg

和製ホラー好きの方、そして、志田未来ちゃんと川口春奈ちゃんのファンはワタクシが言うまでも無く「必見」の映画でしょう。

例によって、まとまり記事を無く終わりますが(やっぱりね)、最後にひとこと。学校のユーレイさんが、「トイレ」「シャワー室」「プール」など水周りが好きなのは何故なんでしょう?陰湿さ→湿っぽさ→水周り、って連想かな?校長室のソファーに、父兄のふりして座ってても良いのでは・・・良くないか。


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映画 「ドラゴン・タトゥーの女」 カップルで観てはいけないエキセントリックな作品・・・ルーニーさんがスゴイっ! [映画]

別ブログに掲載した記事を、ほぼまるごと転用する、とんだ”手抜き記事”であります。ああ、スイマセン。(別に謝らなくてもいいか・・・)

本日のテーマは、ダニエル・クレイグ主演の話題作「ドラゴン・タトゥーの女」です。いやあ、やってくれましたね~。見事!です。大好きだなあ、こういう映画。

ドラゴン・タトゥーの女P.jpgただし、未見の方に申し上げたい、「この映画を、カップルで観てはいけない」と。ダークでシリアスな内容は良いとしても、スクリーンに展開する性暴力、変質者、猟奇殺人のオンパレードに、女性はウンザリするのではないでしょうか?必然を感じる内容なので、それらのシーンも含めワタクシは高評価しますが、いずれにしても、異性や家族と一緒に観る映画ではないですね。ご注意を。

雑誌記者ミカエル(ダニエル・クレイグ)は、悪徳実業家の悪行について暴露記事を発表しますが、相手から名誉棄損で訴えられて敗訴。罰金支払で一文無しになった上に、職を失うピンチ。そんな彼に舞い込んだ”仕事”は、スウェーデンの大富豪一族に起きた事件の調査です。40年前に、富豪の孫娘ハリエットを殺した”犯人”を探してほしいというもの。ちなみに大富豪を演じるのが名優クリストファー・プラマーさん、いい味出してます!

殺人犯は一族(身内)のなかにいる。その確信のもと、ミカエルは怪しげな一族の面々を調査するうちに、やがて危険な猟奇の世界へ巻き込まれていく・・・というストーリー(まとめすぎかな?)。

こう書くと「ツイン・ピークス」「羊たちの沈黙」「ゴーストライター」といった”その手の映画”の良いとこどりかあ?な~んて思うでしょうけど、とんでもない。本作はそれらと一線を画す「ぶっ飛び映画」なんです。

ぶっ飛びの立役者はタイトルロール=”ドラゴン・タトゥーの女”であり、その圧倒的な存在感なんです。

ドラゴン3.jpg

背中一面に竜の入れ墨(ドラゴン・タトゥー)を入れたリスベット(ルーニー・マーラさんが大熱演!)は、精神病院に収監された過去をもつ、無教育な23歳の”異常者”なんです。異常者ですが、超人的な記憶力、推理力、行動力をもつ天才ハッカー。映画前半は「犯人探し」とかかわりがなく、彼女自身が、さんざん酷い目にあっちゃうのですが、ミカエルの助手としてハリエット事件の調査に加わるところから、俄然、輝きを放ちます。

最新007シリーズで主役を張る、主演ダニエル・クレイグさんがかすむほどに、強烈インパクトのヒロインです。いやあ、ベタな感想ですがほんとスゴイなあ。

ミカエル&リスベットのチームは、綿密なデータの調査・分析、そしてヒラメキにより、おぞましい事件の核心に肉薄していきます。暗いテーマに引きずられてテンポがにぶることもなく、良い意味で「ナショナル・トレジャー」みたいなサクサク謎解きっぷりが気持ちよい。

ドラゴン2.jpg

終始、落ち着いた演出ながら、畳みかけるようなドラマ展開にすっかりドキドキでしたねえ。ベストセラーの原作は読んでいませんけど、映画的に実~に、うまくまとめていますもんね。脚本、演出、脚色、撮影、そして俳優さんの演技がバッチリかみ合った成果です。

描かれている世界がなんであれ、キッチリ&綿密に作られてた作品は、それだけで高評価しちゃうワタクシなのであります。

   すぐれたものを認めないことこそ、すなわち野蛮である (ゲーテ)

と、名言を引用し、ちょっとエラソーな気分になってみました、ふふふのふ。

あまり書くと、未見の方の興味を殺ぎますから、この辺で記事を終えましょう。

おおっと、そうそう、”ドラゴン・タトゥーの女”=リスベットを演じたルーニー・マーラさんは、本作でアカデミー主演女優賞候補にノミネートされているんですよね、パチパチ。そして、受賞者の発表は2月27日(明後日)。ぜひ獲って欲しいなあ、オスカー!

ドラゴン1.jpg

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ブログ更新さぼりがちなワタクシでありますが・・・・ [映画]

いやあ、前回のブログアップ(昨年12月)から、ホントに2カ月経過してしまいましたねえ。どんなん不精だよって。

すなわち、2カ月に1回更新のペースすらおぼついていないイイカゲンな本ブログであります。

コメントくださった方への返信も遅くって、ほんとうにすいません。

映画ファンとしては、映画は観ているんですが、「心境の変化」か「ブログに書きたいと思う映画に遭遇しないのか」(たぶん両方かな?)ブログ更新が異常に滞っている、という体たらくであります。強制されるものでもないし、それはそれでいいのかな?と考える次第ではありますが。

しかし!

さきほど、久しぶりにこの映画ブログのアクセス数をチェックしたら、おお!もうすぐ累計100万アクセス!ちなみに(全然、記事を更新していない今でも)1日に1000アクセスくらいあることを知り、かなり驚いたのです。

いまだにワタクシのブログをのぞいてくださる方がいる、という事実に「これではいかん!」と反省しました。幸い仕事も少し落ち着き、これまでのような、1週間に5日間出張という無茶はなさそうなので、是非、記事更新のペースアップをしたいと思っております。

本日は、特に映画を語るわけでもなく、そんな「決意表明」で終了であります。ちゃんちゃん!

と言いつつ、映画の話題をひとつ。

70年代にワタクシが大好きだった少年キング連載の漫画「ワイルド7」が映画化されました(公開は数ヶ月前か?)。主演の瑛太さんを嫌いではないのですが、ヒバちゃん=瑛太さんは、どうも結びつきません。

映画をまだ観ていない(たぶんこのまま観ない)のですが、ご覧になった方の感想をお聞きしたいものです。ちなみに、細かいことですが、ヒバちゃんはコルトのウッズマン(拳銃の名称)を使っていたでしょうか?ワタクシにとっては、そこはひじょうに重要であります。

では本日はこのへんで。

映画、万歳!ビバ、ビバ。

・・・って、そんなまとめかよ。と自分にツッコミ。


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映画 「カウボーイ・アンド・エイリアン」 後半はトホホでも、ダニエル・クレイグのカッコ良さでOKとしましょう! [映画]

本ブログの前回記事アップ、な、なんと「9月」じゃないですかあ!(って、自分でも忘れてたのかいな)

ということは丸2カ月間も、更新をせず、酒ばかり飲んで放置プレーってこと。不精も度が過ぎる・・・と反省(感心?)しきりです。まあ、誰かに期待されてるブログでもありませんから、忘れた頃に、ぽっ、と更新する姿こそ奥ゆかしけれ・・・日本のわびさびってこと。って、何の言い訳だよ。。

ブログ更新をさぼってた2カ月の間も、しっかり映画は観ていました。ツボにはまったのは断然、「スーパー!」でしたねえ。低予算のミニシアター系映画ゆえ、見逃した方も多いでしょう。それは残念。コスプレヒーローのパロディ・コメディで、設定はニアリー「キック・アス」ですが、下品でグロなフレーバーがなんともいえずナイスでした。最後はポロッと泣かせるとこも良い。エレン・ペイジちゃんのファンには絶対に観てほしいです(ワタクシが、まさにそうですが・・・)。あと、ケヴィン・ベーコンのファンの方にも。

「スーパー!」を褒めときながら、これから書くのはメジャー映画「カウボーイ・アンド・エイリアン」についてであります。なんだったんだ、さっきの前振り・・・。

「カウボーイ・アンド・エイリアン」の舞台は19世紀末、アメリカ開拓時代。つーことは「西部劇」なんですね。でもストーリーは、人間VSエイリアンの戦い・・・あれまあ、SFでしたか。殺人鬼ジェイソンが宇宙に行ったり、エイリアンとプレデターが戦ったりと「なんでもあり!」の映画界ですが、その中でもかなり奇抜な設定と言えましょう。よく企画が通ったものだ。

とんでもないC級映画?と思いきや、人間側(という表現も変だけど)を演じるのが最新007シリーズの主役をはるダニエル・クレイグさん。それに「インディ・ジョーンズ」ことハリソン・フォードさん。ビックネーム二人の競演となると、いくら「すべってる予感」がしようと、映画館に行かずにはいられません!

カウボーイ・アンド・エイリアン 2011年米

監督 ジョン・ファヴロー 出演 ダニエル・クレイグ、ハリソン・フォード、オリビア・ワイルド、サム・ロックウェル、ほか

カウボーイ&エイリアンP.jpg19世紀末の北米アリゾナ。一人の男が砂漠でハッ!と目覚めるシーンから物語は始まります。この男ロレガン(ダニエル・クレイグ)は、自分が何者で、ここで何をしているのか、全く覚えていません。そして左腕には謎の金属の腕輪・・・。やがて、ある町に流れ着いた彼。そこで地元権力者ダラーハイド(ハリソン・フォード)の不遜な息子とひと悶着を起こし、さらに、自分がお尋ね者の大悪党であることを知るのでした。

凄腕のロレガンも、多勢に無勢、保安官に逮捕され馬車に押し込められます・・・そこに、ダラーハイドが現れます。ロレガンは全く思いだせないのですが、彼はダラーハイドの金貨を強奪したらしい。緊迫した空気のなか、突然、夜の空に現れる飛行物体の群れ。それらは地上を攻撃しながら、次々に人間を捕獲していきます。

敵に対し拳銃、ライフルはまったく歯が立たず、ただただ逃げまどう人々・・・しかし、ロレガンの腕輪の光が点滅すると、そこから発射される光線が、敵の一機を見事に撃墜します。いったい、この腕輪は何か?ロレガンは自らの過去を解き明かすため、ダラーハイドは連れ去られた息子を救うため、未知の強敵を追って彼らは砂漠へと向かいます・・・・。

・・・と、ここまでのストーリーをなぞってみましたが、ハッキリ言って、この映画、スリリングで面白いのは「ここらあたり」までです。敵(題名まんま「エイリアン」なんですがね)の正体が分からずに、いったい、この先どうなるの?どう戦うの?と、登場人物も観客もハラハラしているうちが花ってこと。

前半、姿をみせないエイリアンですが、話を進める都合、いつかはスクリーンに登場しますよね、で、その造形がねえ~。あのぉ、そのぉ、ちょっとぉ~、もはやツッコミようがない(惨憺たる)レベルというか。

他の星を侵略(?)するような悪~いヤツらだとしても、あれだけの飛行船を飛ばす「科学力」「文明」は持ってるはずですよね。しかし造形がバケモノというか、ゲテモノというか。腹がパクっと割れて追加の2本の手が出てくるとこなんざ、誰だよ、お前って。イイカゲンにしなさいって感じです。

カウボーイ&エイリアン4.jpg

百歩譲って「進化の不思議」と、エイリアンの「お姿」を許しても、彼らの「腰砕け」っぷりというか、「脇の甘さ」には、つくづくイラっときちゃいます。レーザー光線まがいの強力兵器を持っているくせに、人間側の浅知恵に、まんまとしてやられる阿呆っぷり、どうかしてますよ。責任者、出てこいって。

自分たちのアジト(ベタな洞穴的加工)に容易に人間の侵入を許したうえ(セキュリティ・システムもないのか?)、中で待ち構えるロレガンに、なんの工夫もなくイノシシのように突進し、TVゲームよろしく次々に殺されていくんです。思いだしました、これ「ゾンビ」のシーンと同じです。あるいは「沈黙のテロリスト」でセガールに特攻し”順番に”せん滅させられるテロリストたち。まったくもって「やられ上手なエイリアンさん!」と一声かけたくなる体たらくです。

カウボーイ&エイリアン3.jpg

共通の敵を倒すため、対立していた白人どうし、さらには、白人とインディアンまでが力を合わせる・・・というくだりは、それなり感動場面であり、一応、その盛り上がりにに乗っかった私ですが、後半がこれじゃあねえ・・・終わってみれば、エイリアンに「愛」と「勇気」と「友情」で打ち勝つというコンセプトがどだい無茶なんじゃないのって。

いかんいかん、非建設的なツッコみばかりでは、世の中、何も始まりません。

前向きに、この映画の素晴らしい点を書きましょう。それは、

ダニエル・クレイグさんがめちゃくちゃカッコいい!

ということに尽きます。

カウボーイ&エイリアン2.jpg

無表情、無感動、孤独でクールな「できる男」を演じ切っておりますね。007シリーズのジェイムス・ボンドを演じた俳優たちは、その呪縛に苦しんだものですが、ダニエル・クレイグさんにそんな心配は無用でしょう。役選び&役作りが上手いですよ、彼は。申し訳ないけど、ハリソン・フォードさんは「添え物」に感じちゃいました。

カウボーイ&エイリアン5.jpg

もうひとつ、マニアックなツボですが、「グリーンマイル」で凶悪異常犯を、「アイアンマン」「チャーリーズエンジェル」で小悪党を演じたサム・ロックウェルさんが、本作では、気の弱い善人役なのであります!そ、そんなバカな!最初気がつきませんでしたもん。まあ、ゲイリー・オールドマンさんが「ダークナイト」で正義感あふれる警部を演じたり、「コントロール」ではウィレム・デフォーさんが”あの顔”で善人役ですから、映画のキャスティングというのは実に奥が深いですなあ。

以上、収拾つかないまとめでスイマセン。ブログアップ2カ月ぶりのブランクのせいかしらん?

次回のブログアップは、きっとまた2か月後でしょう。おいおい、今からそれですかい。


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ジョン・カーペンター監督最新作 映画「ザ・ウォード 監禁病棟」が素晴らしい! [映画]

今回は手抜きです。ワタクシのやっている別ブログから、記事をそのままコピペ&修正します!うーん、省力化。なんとエコなブログだ・・・って、不精なだけだよ。

別ブログの7月8日記事で、大好きな映画監督ジョン・カーペンターさんをご紹介しました(記事はこちら→クリック)。私にとって、カーペンター監督といえば80年代の名作「遊星からの物体X(原題The Thing)」です。SFホラーの金字塔であります。ちなみに、そのリメイク版が、来月からアメリカで公開です、監督はカーペンターさんじゃないけど・・・。

本題に戻りましょう。

カーペンター監督9年ぶりの新作「ザ・ウォード 監禁病棟」が公開されたという話題です。ファンのワタクシ、さっそく拝見しました!ほぼ全編、閉塞された精神病院内を舞台に展開するサスペンス・ホラー。逃げ場のない中で追いつめられる主人公、という設定は、同監督の「遊星からの物体X」「要塞警察」「パラダイム」に通じます。監督、9年ぶりのメガホンでも、ぶれることなく、ご自分の土俵で勝負した、といったところでしょう。さて、その出来栄えは・・・。

ザ・ウォード 監禁病棟 2011年米 

監督 ジョン・カーペンター 出演 アンバー・ハード、リンジー・フォンセカほか

ファンのひいき目をぬきにしても、新作は、予想以上に素晴らしかったです!

ザ・ウォードのポスター.jpg最近多い「ドキュメンタリーを模したバカホラー」や「やたら大きな音で観客を脅かすビックリホラー」とは違います。古典的ともいえる、プロット重視。観客をじわじわ追い込むタイプの作品で、これぞ、”私が待っていた映画”なんですね。

農家に放火した女性クリステーン(アンバー・ハード)が精神病院の監禁病棟に収容されます。彼女はなぜか過去を覚えていません。しかし「自分は狂人ではない」と信じている。何度か脱走を試みますが失敗。やがて、彼女は気付きます。そこ(監禁病棟)には患者以外の「不気味なもの」がいることを。

クリステーンの訴えを、狂人の妄想と一蹴する医者と看護士。病棟の患者たちも同じです。が、やがて「不気味なもの」は病棟の患者を一人づつ殺しはじめます・・・このプロットは、同監督の名作「ハロウィン」「遊星・・・」の流れを汲んでいます。しかし決して自作のマネに終わらないのがカーペンター監督なんですねえ。さすが!

映画後半は逃げるクリステーン、追う看護士たち、そして「不気味なもの」の三つ巴の逃走劇となります。緊張感抜群で、主人公の恐怖もリアルです。そしてラストは・・・。

うーん、素晴らしい!女優さんたちの演技といい、テンポといい、オチといい・・・この記事を読んだ方、すぐに地下鉄 東銀座駅近くの「銀座シネパトス」に向かうように。早くしないと上映が終わってしまいますよーーーー。

主人公クリステーンを演じたアンバー・ハードさん、お顔に記憶がないのですが、水川あさみさんに似た美人。本作の成功の多くが彼女のおかげですねえ。お見事です。今後、間違いなくブレイクします(断言)。容姿だけの女優ではなく、しっかりした実力を感じますもん。今後、大注目です。

ザウォード2縮.jpg

いずれにしても、老いてなおジョン・カーペンター監督の「ホラーの帝王」の座は揺るがない、ということです。サム・ライミ監督に負けるな!!(なんのこっちゃ)

以下は映画と直接関係ないおまけネタです。「ザ・ウォード」のPVで、カーペンター監督が日本のファン向けに語っているのですが、いい感じなので、それを紹介しましょう。

PVは監督の下手な日本語「ニホンのミナサン、コンニチワ・・・」で始まります。最後は「映画、ぜひ観てね!」みたいに締めくくるのですが、ツボにはまるのは”中間部分”です。

日本のことを褒めようとしたのでしょう、「日本は美しい国です」と、切り出した監督。

その次のコメントが渋い。

「何といっても、ゴジラ、ラドン、キングギドラ・・・」

ん?日本ってそのイメージなの?さらに監督はこう続けます。

「そしてAKB48の生まれた国です」

ガクッ!これ比喩でなく、ほんとにガクッ!と来ました。キングギドラ発言も凄いけど「AKB48を生んだ」ことで日本が褒められちゃたよ~~。うーーん、カーペンター監督の自発的発言なのか、誰かの入れ知恵かは分かりませんが、笑えるPVに仕上がりましたね。以下、YouTubeより、「問題の箇所」抜粋です。あははは。

カーペンター監督のおちゃめ.jpg

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映画 「シャンハイ」 残念ながら駄作。本年観たワースト映画です・・・とほほ。 [映画]

自称映画ファンのワタクシ、大不評の映画で、実際に観て「ひでえなあ」と思っても、上から目線でけなしたり、おとしめたりするのは気が引けるわけです。だって、どんな映画も作り手は熱意と努力をつぎ込んだ(はず)ですから・・・そんな建前発言の一方、「1800円払うからには、最低限の水準はキープしてほしい」という本音もありますね。

本日、ご紹介する「シャンハイ」という映画。

残念ですが、ずばり、ひどい映画、ひどすぎる映画です。未見の方に先入観を与えたくないですが、チケット代が500円としても、ご勘弁いただきたい低レベル。大戦前夜のシャンハイを舞台に、ある女性の悲劇が描かれます。しかし、本当の悲劇は、1800円を払った観客に降りかかった、といえましょう。

「シャンハイ」は今年観た映画のなかで断トツのワースト作品です。なお、ワースト2は「ザ・ライト エクソシストの真実」なんですが、なんと同じ監督の作品です。うわあ、なんなんだ、この一致は!

シャンハイ 2010年米 

監督 ミカエル・ハフストローム 出演 ジョン・キューザック、コン・リー、チョウ・ユンファ、渡辺謙ほか

シャンハイP.jpg観終わって、あまりにもガックリきたので、何も書く気が起きない映画ですが、一応ワタクシなりに「何が悪かったか」を考えてみたいと思います。

まず本作のあらすじです。舞台は1941年の中国上海。大戦前夜のシャンハイには不穏な空気が充満しています。支配を強める日本軍、日本軍に抵抗する中国レジスタンス、そして列強国のスパイ達が暗躍しています。さて、アメリカのスパイ、トニーが何者かに殺されます。殺人犯と背後の真相をさぐるべくトニーの親友ポール(ジョン・キューザック)が、新聞記者(じっさいはアメリカのスパイ)としてシャンハイに派遣されます。

ポールは地元の実力者ランティン(チョウ・ユンファ)とその妻アンナ(コン・リー)と知己を得ます。実はアンナは日本軍に抵抗する組織のキーメンバー。日本軍の将校、田中(渡辺謙)は抵抗組織を根絶やしにするべく、行方不明になったひとりの女(菊池凜子)を探しています。彼女はすべてを知る女・・・抵抗組織と、日本軍の間で、彼女をめぐる「戦い」がはじまります。

一方、ポールは親友の死を調査するうち、日本軍の大きな「計画」を知ることになります。こうして、映画は複数の登場人物の思惑を軸にして、悲劇の結末へと突き進んでいくのです。

・・・と聞くと、なんとな~く異国を舞台にしたスリリングな群像劇を想像するでしょう。

とんでもございません!登場人物はステレオタイプに「役を割り付けられた」かのごとく、奥行きがまったくありません。ジョン・キューザックは、世界崩壊パニック映画とおんなじ”能面演技”をご披露、コン・リーはもったいつけてるわりに芝居は一本調子(ジョン・キューザックの病気がうつった?)で、結局は「ただの浅はかな女」だし・・・。スリリングどころか、映画に感情移入できないのです。救いといえば、日本軍将校を演じた渡辺謙さんの熱演くらいでしょう。存在感じゅうぶん、お一人で気を吐きましたね。

シャンハイタナカ.jpg

何から何までひどいので、思い出すだけで疲れますが、出来事のうわっつらをなでた平板な脚本は大問題。眠気を催すに低レベルに加えテンポの悪いこと。こうゆうのを「観客をバカにした本」というんですよね。

日本軍に疑われ(かつ夫にも疑われ)監視されているアンナが自由に(?)活動する「無理」を、どう説明するのか?事件に深入りしたポールは、トニーが殺されたのと同じ理由で殺されて仕方ないはずなのに、どうして生きながらえているのか?そして田中の言動ときたら支離滅裂ではないか?要するに、ストーリー以前の「設定」がユルイんです。

シャンハイ1.jpg

それ以上にひどい点は、魔都と呼ばれたシャンハイの混沌とした空気、一触即発の緊張感、不安感・・・これらが画面から全く感じ取れないこと。街の俯瞰シーンもほとんどなく、やたら登場人物をアップで撮るために、場面に広がりがありません。あえて「閉塞感」を表現しているのかといえば、そうではない。

舞台は中国でも、アメリカのスタジオでテキトーにセット組んで撮りました、あはは・・・というキッチュでチープな仕上がりは噴飯ものです。まじめに映画の途中で、頭が痛くなってきましたね。

作り手を弁護するとしたら「予算の関係」と想像するしかありません。大スターを並べた結果、出演料だけで膨大な出費となり、シャンハイの俯瞰シーンも撮れず、雰囲気を醸し出すセットも組めなかったんでしょう。もしそうだとしたら、存在意義が不明の添え物キャラ=チョウ・ユンファ演じるランティンなど、まるごと削ればよかったんです。

シャンハイ4.jpg

戦時(または戦前&戦後)の”不安な空気”を表現した名作は、過去にいくらでもあるわけです。たとえば同時期の中国を舞台にしたアン・リー監督「ラスト・コーション」(2007年)。トニー・レオン、タン・ウエイの究極演技が注目されますが、なんといっても時代の空気感が見事ですよね。ベルナルド・ベルドリッチ監督の「1900年」「ラスト・エンペラー」も素晴らしい。70年代だとビスコンティ監督「地獄に堕ちた勇者ども」が圧巻でした。73年にはシャーロット・ランプリングが究極の狂気を演じた「愛の嵐」がすごかった・・・・。映画の出来を決定的に左右するのが、戦争にからむ抑圧感や不条理だとしっかり認識し、重要視しているから名作となりえたわけです。

どうして、「シャンハイ」製作スタッフは、過去の名作を参考にもせず、高額ギャラ俳優を「並べただけ」の駄作を作っちゃったのでしょうか?主演がジョン・キューザックというだけで「終わったな・・・」という予感はしてましたが、ここまで、その通りとは。ある意味、確信犯かい?

いやはや、いまどき珍しく「作り手にこだわりのない映画」でした。どうせなら、主人公がエイリアンだった、とか、すべては渡辺謙の睡眠中の「夢」だった、とか、大逆転のオチをつけてほしかったなあ。いくらなんでも、それは無理か、あははは。では本日はこのへんで。

シャンハイ3.jpg

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映画 「ゴーストライター」 絶対に観るべきです。これぞ、ロマン・ポランスキー監督の美学! [映画]

ベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀監督署)を獲得したユアン・マクレガー主演のサスペンス「ゴーストラーター」について書きます(公開2週目)。

ずばり、映画好きの方なら、絶対に観るべき作品!

この記事を読んだら、すぐに劇場へ行きましょう!!

個人的には、今年観た映画で(現時点で)ベスト作品であります。

映画館でクラッと来ましたもん。御歳80歳、人生いろいろのロマン・ポランスキー監督の映画観と美学がスクリーンから溢れだし、ぐんぐん迫ってくるわけです。

比較は酷でしょうけど、今どきのハリウッド映画って、監督が誰であろうと変わりありませんよね?だって監督の役目はスター俳優のご機嫌を損ねずに、期日までに決められた予算で仕上げ収益を上げる・・・要するにルーチンワークをそつなくこなせば「良い監督」です。監督のこだわり=作家性、など、むしろ百害あって一利なし、とみなされる時代なんですから。

予算と出演者がちがうだけでTVドラマと大差ない映画ばかり・・・それに慣れて、われわれ観客の「感性」も鈍った、というと、風呂敷を広げ過ぎでしょうか?

ロマン・ポランスキー監督ときいて、私がまっさきに思い浮かべるのは、ジャック・ニコルソン、フェイ・ダナウエイ共演の探偵映画「チャイナ・タウン」。ミア・ファロー主演のホラー「ローズマリーの赤ちゃん」です。どちらも古い。ちなみに2000年以降の作品、「戦場のピアニスト」はエイドリアン・ブロディがあまりに痩せすぎ(そこかよ!)で食いつけず、ジョニー・デップ主演「ナインズ・ゲート」は、おどろおどろしさを強調して空回り・・・ポランスキー監督は”やっぱり昔が良い”と(ゴーストライターを見るまでは)思っていたわけです。

少々分析チックになりますが「チャイナ・タウン」「ローズマリーの赤ちゃん」の何がすごいかというとそのテイストなんですね。どちらもストーリーはグズグズ、なんだかよく分からんのです。ハリウッド映画的な”分かりやすさ”と相いれません。ところが映画全体に漂う雰囲気が絶妙で、各シーンに意味がある(ような、ないような)、そこから生まれる不安、緊迫感、リアル感・・・これがスゴイんですね。観客の想像力をかきたてるんです。

どんどん話が脇道にそれますが、ウイリアム・フリードキン監督「エクソシスト」は煽情的なテーマや、悪魔祓いシーンの凄まじさだけでなく、スクリーンからにじみ出る「あの空気」が肝なんですよね。”事が起きる前”から漂う尋常ならざる空気、これが観客に伝染するんです。

ルキノ・ヴィスコンティ、フェデリコ・フェリーニ、ルイス・ブニュエル、ルイ・マル、デヴィッド・リンチ、ヴィム・ヴェンダース、サム・ペキンパー、黒沢明、ヴェルナー・ヘルツォーク・・・彼らには独特の雰囲気と語り口つまり「作家性」があり、それが”唯一の映画”たらしめているんです。ハリウッド職業監督のベタ映画に見慣れたワタクシ、そのことをすっかり忘れていた次第。うーん、恥ずかしいぜ。

が、ついに出ましたね~。やってくれましたね~。ロマン・ポランスキー監督!本作「ゴーストライター」は見事なまでにポランスキー色。元祖アンチ・ハリウッドの気骨を見せていただきました。

そして、主演ユアン・マクレガーさんが素晴らしいのだっ!

とにかく観ていただきたい名作なんです。

ゴーストライター 2010年 フランス・ドイツ・イギリス合作

監督 ロマン・ポランスキー 出演 ユアン・マクレガー、ピアーズ・ブロズナン、オリビア・ウィリアムズ、トム・ウィルキンソンほか

ゴーストライターP.jpg主人公(ユアン・マクレガー)は、有名人に変わって自伝などを代筆する「ゴーストライター」。元英国首相アダム・ラング(ピアーズ・ブロズナン)の自伝依頼を引き受けた主人公は、ラング一家が滞在する、アメリカ東海岸の孤島に向かいます。

自殺した前任者が残した草稿を読み、不足があればラング元首相にインタビュー。たった1か月で、自伝を仕上げるのが彼の仕事です。元首相、その妻ルース、女性秘書アメリア・・・と、一筋縄ではいかない面々と苦労しながらも仕事を進める主人公。ところが、ラング元首相が、在任中に戦争捕虜拷問を指示した疑惑が持ち上がり、マスコミが島に押し掛けるなどの大騒ぎが始まります。

一方、主人公は、自分の前任者の自殺に疑問を持ち始めます。前任者が残した”不自然な”自伝草稿・・・部屋に隠してあった資料・・・泥酔してフェリーから落ちたという「死に方」、前任者は取材を通じて知ってはならない”国家機密”を知り、殺されたのでは?

やがて、主人公にも、じわじわと迫る危険・・・はたして真実は?そして、主人公の運命は?

さて、この映画。

映画全体をおおう、寂寥とした空気、そのリアル感からして素晴らしいんです。主人公たちが過ごす孤島のモノトーンで悲しげな風景、吹きすさぶ風、冷たい雨、映画のイヤ~な展開を見事に象徴していますもんね。

ゴーストライター2.jpg

そして、映画の「語り口」の上手さといったら!

結論を急がず、じわじわと満ちてくる不穏な感じ。分かりそうで分からない「前任者の残した謎」のもどかしさ。誰が敵で、誰が味方なのかも分からない・・・・。

身に迫る危険を感じ、島を脱出しようとする主人公に迫る追手。無人の暗いフェリー乗り場を走る主人公の切なさと孤独が、映像からじわーーっとしみ出してきます。追手は鍛え抜かれたエージェント・・・ではなく、(影だけ見えるのが)ふつうのオッサンぽくって、そのリアルが、ああ、怖い、怖い。

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国家機密を知ったため、当局に追われる「ふつうの人」というコンセプトは、ハリウッドが大好きですよね。数年前「イーグル・アイ」なんて映画ありました。でもハリウッドだと、即物的で、携帯電波から居場所を特定し、完全武装の特殊部隊が乗り込んできたり、対戦ヘリで追いかけてきたりと、派手な娯楽アクションに堕しています。

ところが、「ゴーストライター」には、そんな大仕掛けはありません。フツウさが素直に怖いんです。映画が終わったとき、前の座席にいた女性2人の会話、「鎌を持って追いかけてくるよりも、こっちのほうが怖いよね」・・・うーん、いい発言です。

ゴーストライター5.jpg

主人公を演じるユアン・マクレガーさんは、シリアスなストーリーの中に、彼らしい「乾いたユーモア」を漂わせ好感が持てます。「スターウオーズ」などメジャー作品でも活躍する大スターですが、本作のような「こじんまりした」ヨーロッパ映画でこそ、彼の小粋な良さが光りますね~。

元ジェームス・ボンドのピアーズ・ブロズナンさんが、にやけた元英国首相を、いかにも外面の良い政治家に演じていて、はまり役。悪党っぽさがいい感じであります。さらに、ラング元首相の妻ルース役のオリビア・ウィリアムズさんが、分裂症気味で怪しい感じがまことにヨロシイ。登場人物の描き方も、上手いなあ~と感心しきり。

ゴーストライター6.jpg

脚本よし、映像よし、俳優よし、で、ロマン・ポランスキー監督まだまだ現役!を印象づけた作品です。変に難解ではなく、(ハリウッド映画ほどではないけど)分かりやすいドキドキに、すっかり嬉しくなりました。たぶん、昔のポランスキー監督のような「変化球」は、今の時代は受け入れられないでしょうからね。80歳にして、バランス感覚もアッパレ!であります。

繰り返しますが、是非、劇場公開が終わる前に、観てほしい映画であります。


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映画 「マイティ・ソー」 すでに公開終わりましたが・・・これは素晴らしい!! [映画]

夏です。暑いです。関東は連日30℃超・・・外に出ると体が溶けますぜ!って「プラネット・テラー in グラインドハウス」のブルース・ウイリスかっ! 

前々回記事に書いた気もしますが、この時期、深遠なる人間ドラマはご遠慮し、なーんも考えずにスカッと観てスカっと忘れるような映画をチェックしちゃいます。そういえば、ただでさえ演技が暑苦しいショーン・ペン出演「ツリー・オブ・ライフ」を、猛暑の日本で公開した配給会社の英断には、皮肉をこめた拍手を送りたいですねぇ。夏休みお子様映画に対抗するなら「オープン・ウォーター3 赤い珊瑚礁」しかないでしょうが・・・って、なんの話でしたっけ?

そう、夏はスッキリ、後をひかない映画が良いという私見をご披露したのでした。

そんなわけで公開は終わりましたが「マイティ・ソー」というアメコミ原作ファンタジーを拝見したので感想書きます。予告編を観た限り、神話をベースにしたコスプレ系の駄作に思えたのですが、とんでもない!駄作どころか、コミック原作のヒーロー映画で、これほど見事な作品は久しぶりでした。素晴らしいっ!

ストーリーが分かりやすいうえに、よく練られています。「X-MEN ファースト・ジェネレーション」よりも良く、現在公開中の「トランスフォーマー ダークサイド・ムーン」などは足元にも及ばない、観る価値アリの力作(断言!)。さて、「マイティ・ソー」、なにがそんなに良かったのか?

マイティ・ソー 2011年米

監督 ケネス・ブラナー 出演 クリス・ヘムズワース、ナタリー・ポートマン、アンソニー・ホプキンス、浅野忠信、トム・ヒドルストンほか

マイティソーP.jpgまず、浅野忠信さんハリウッド進出第一弾!という宣伝文句が日本人ココロをくすぐりましたね。でも映画はしょうもないんでしょ?くらいの冷やかし気分で拝見したんですね・・・ところがどっこい!前述のとおり、マジ、感動しちゃったワタクシであります。

ラストでナタリー・ポートマンの背中から真っ黒な羽がどばーっと生え・・・あれ、それは「ブラック・スワン」だよ、あっはは、と、ややこしいボケをかましている場合ではありません。

まずハッキリ申し上げて、「マイティ・ソー」、設定はめちゃ子供っぽいのです。

「神の国」の偉大なるオーディン王(アンソニー・ホプキンス)が老年を迎え、二人の息子のどちらかに王位を譲ることになりました・・・と、もろに中世騎士物語のノリであります。

老王が王位を譲ろうとする長男ソー(クリス・ヘムズワース)ですが、こいつが超問題児なんですね。ワガママ放題の暴れん坊。休戦中の巨人族の星に「俺様流」で仲間とのりこみ、無敵のハンマー”ムジョルニア”を振り回し大暴れ・・・ここに至り、老オーディン王の堪忍袋の緒が切れます。

ソーは「神の力」を奪われ追放、人間になって地球に落ちます。隕石よろしく地面に激突した彼は、異常を追跡していた天文学者ジェーン(ナタリー・ポートマン)たちに助けられます。しかし「俺様No1」のソーは感謝するどころか、横暴な言動で周囲をウンザリさせるのでした。

無敵のハンマー”ムジョルニア”が地球に落ちたことを知り、意気揚々と現場に乗り込んだソーですが、地面に刺さったムジョルニアを微動だにできず困惑、周囲からは狂人扱いを受け、自分の無力さと傲慢さを思い知り、深~く落ち込んでしまうのでした。

一方、ソーがいなくなった神の国では、ソーの弟が、敵である巨人族と手を結んで、老王から全権力奪おうと画策をはじめます。謀略に気付いたソーのかつての仲間たち(浅野忠信もこの一人)は、ソーを連れ戻そうと、王の命に背き地球へやってきます。

地球で「正しい人間」として生きることを決意したソー。しかし、邪魔者ソーを抹殺しようと弟の放った刺客(化け物)が地球に降り立ちます。神の力を失ったソーは対抗できるのか?ソーの追放は解かれるのか?「神」に戻って、弟の邪悪なもくろみを打ち砕けるのか?

マイティソー1.jpg

本作は傍若無人のワガママ坊主が千尋の谷(って地球だけど)に突き落とされ、初めて挫折を経験、しかし周囲の愛で「改心」し「成長」、ついには世界を救うという、ベタベタ・ヒーローストーリーなんです。ワガママ・ソーが中盤、ジェーン博士の優しさにふれて「オレ、マジ反省します、ごめんなちゃい」とばかりに、良い人(良い神?)へ急変貌するのはあまりに単純、ご愛嬌以上の無理を感じます。

(まあ、ナタリー・ポートマンさんの目で見つめられれば、どんなバカも心を入れ替えるてか?)

ところがですね、この映画、そんな無理すら吹っ飛ばす素晴らしさに満ちているんです。

ひとえにケネス・ブラナー監督の見識と思うのです。ケネス・ブラナーさんといえば、天才と称されたシェイクスピア俳優。さらに映画監督でもあります。シェイクスピア映画だけでなく、人生はいいよなあ~と思わせるキュートな佳作も作る才人です。

CG満載のアドベンチャー映画「マイティ・ソー」の監督依頼には、ご本人も驚いたようですが、さすがは天才と呼ばれるお方。CGは添え物にすぎず、肝は「親子の確執」「兄弟の嫉妬」「立場を超えた愛」すなわち人間の本質的ドラマと見極めておられますね。そこをおろそかにせず、しっかり描くから、観客が登場人物にシンパシイを感じることが出来るわけです。

マイティソー5.jpg

場面切替が良い意味で「演劇的」なのも見事。神の国と、地球上が、交互に描かれますが、ストーリーを進めるだけの説明シーンに陥らないよう、場面ごとに「山場」「決めセリフ」をもってくるのは、脚本の妙であり、かつ、監督のこだわりと思いますね。もしも「スター・ウォーズ」シリーズのスタッフに、こうした脚色センスがあったら、あれ、どんな名作になっていたか・・・うーん、ルーカル監督、残念なり!

「マイティ・ソー」のラストは、言うまでも無く、お約束どおりのソー大奮闘のカタルシス!無敵のハンマーも大活躍!臆面もなくCG映像の連発連発で嬉しくなります。大暴れだけのアッケラカン~で終わるのではなく、ソーとジェーンのほろ苦い恋ネタをまぶすなんざ、ああ、いいですねえ~~。

ソー役クリス・ヘムズワースさんは美男子ではありませんけど、格闘技系男臭さがいい味出してて、ちょいとチープな「神の衣装」もお似合い。まさに適役です。目が涼しく、笑顔が意外に可愛いので、ファンが増えそうですね。

ナタリー・ポートマンさんは「ブラック・スワン」の狂気の女から一転、彼女らしいチャーミングさで、奥手の女のコ(?)にバッチリはまっています。まあ、こんな可愛い天文学者が、現実のアメリカにいるもんか!という素のツッコミはしたくなりますが・・・。

マイティソー2.jpg

浅野忠信さん、出番はそれほど多くはないですが、邦画での「ヤサグレ感」が皆無で、清潔な雰囲気がはまってます(彼、いつもこうだといいのにねえ)。ソーに忠誠を誓う神の戦士をカッコ良く演じており、今後、ハリウッドからゾクゾク出演オファーが舞い込むことでしょう!パチパチ!

マイティソー4.jpg

ということで、「マイティ・ソー」を見逃した方、今は劇場で観れませんが、DVD化されたときには是非観てくださいっ!

ところで本編終了後、「ソーはアベンジャーズに登場する」という予告が出ます。ついに来ますかあ、ヒーロー大集合映画「アベンジャーズ」!アイアン・マンはすでに2作が作られていますので、今回の「マイティ・ソー」が揃えば、あとは日本公開を待つ「キャプテン・アメリカ」でいよいよ・・・楽しみですね。これは絶対に見逃せません!


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映画 「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」 なんだかだまされたような、こんなんで良いのか? [映画]

あまりにも超メジャー、集客数でも興業収益でも文句のつけようのないファンタジー・シリーズの最新作にして、最終作(完結編)であります。しかし・・・困ったもんです、この作品は。。。

ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2 2011年

監督 デビッド・イエーツ 出演 ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン、レイフ・ファインズ、アラン・リックマン、マギー・スミス、ヘレナ・ボナム・カーター、ほか

ハリーP.jpg大人気シリーズにツッコミ入れるなんて怖れ多くて出来ません・・・な~んて気を使うような私ではございません!だって、この映画、スティーヴン・セガール主演「沈黙の宿命」以上にワタクシをガクーーッ!とさせましたからね。

問題は映画というより原作側にあるのかもしれません。(一冊も「ハリー・ポッター」を読んだことがないので分かりません、スイマセン)。

映画ファンを自認する以上、ワタクシも「ハリー・ポッター」シリーズは一作目から劇場で拝見してきました。ここまで延々と続くと、さすがに愛情というか独特の感情が湧いてきて、(どなたも同じでしょうけど)ラドクリフ君は大人になったなあ、とか、ハーマイオニー役のエマ・ワトソンちゃんは美人になって良かったなあ・・・などと、もはや父親気分になっているのであります。

しかしこれにはマイナス効果もあるわけです。

登場人物への思い入れが強くなるほど、観客はそこばかりに注目して、映画の出来が甘くてもOKしちゃうわけです。それじゃダメじゃん、って。

森繁久弥と小林桂樹さえが出てれば「社長シリーズ」はOKってこと・・・たとえがあまりにも古いわいっ!

まあ、製作側の苦労も分からないではありません。最初の4作目くらいまでは、一話完結的な雰囲気でまとまりがあったのが、後半は「連続もの」です。公開間隔が数カ月もあると観客の緊張感が維持できなくなる(というか前回のストーリーを忘れてしまう?)。そのうえ、演じているのが子供たちなので、1年も経てば成長し、声や容姿が変わっちゃうし。テンションとテイストを維持しつつ、シリーズを作り続けるのが難しいですよね。

ハリー2.jpg

しかし、そんなご苦労を割り引いても、この映画はトホホ~な出来に思えます。最大の問題は、

悪役が弱い!ということ。

「名前を口に出すのもはばかられる」ほど恐れられている闇の魔法使いヴォルデモート。こやつがハリー・ポッターの宿敵ですが、終わってみれば、このオッサン、腰砕けにもほどがあるわけです。

ヴォルデモートおじさんときたら「ハリー~~、お前は死ぬのだあ~~、生き残るのは俺様だあ~~、うひひひ」と余裕の発言をかますわけですよ。どうでもよいですがヤツの衣類は「たまには洗濯しようよ」くらい煤けてて、違った意味でも怖いですが、まあ、とにかく強気強気のおっさんなのである。

ところが、映画の顛末をみるに、まったく脇が甘い、のであります。

ハリー1.jpg

ハリー・ポッターごときコワッパ相手に、やることなすこと後手後手にまわり、魂の入った分霊箱を次々に破壊されるわけです。相手(ポッター)のほうが一枚上手で、余裕をかましてるうちに「ん?まじ?やばくね?」みたいに追いつめられちゃう。ヴォルデモートさん、そこまで尻に火がついているのに、まだ「ハリー~、お前は死ぬのだぁ~~、ふふふ~」・・・って、もうそれはいいから!さっさと目先の状況を把握&分析して、適切に対処しなさいってば!

部下のしつけといい、蛇のしつけといい、リスク管理能力を疑わざるを得ないのであります。

一番のボケは(ネタバレになりますが)、本作のラストでしょう。ヴォルデモート率いる「悪の軍団」がホグワーツ魔法学校に乗り込みます。ハリー・ポッターは、すでに殺されている・・・高らかに勝利を宣言するヴォルデモートですが、な、なんと!実はハリーは生きていた!(そりゃそうだ)

おいおい・・・どんなん甘いんだよ、って。

「ゾンビランド」というコメディホラーでさえ、「ゾンビに対しては、必ず銃弾を2発撃ちこんでトドメを刺す」と主人公は言いきっております。ヴォルデモートほどのお方(?)が、そんな重要な手順を抜かしてどうするのよ?

甘い、甘い、甘すぎるぞ!

挙句の果て、最後の分霊箱までコワッパどもに破壊され・・・うーん、だからさあ、蛇のしつけがなってないのよね!ヴォルデモートさんには「アナコンダ」「アナコンダ2」のDVDを観ていただき、蛇の生態に精通してほしいものです。

ハリー3.jpg

ヴォルデモートの右腕の女魔法使い(ヘレナ・ボナム・カーター)も口ほどにもなく、あっけなくヤラレてオダブツし・・・スネイブ(アラン・リックマン)も分かったような分からんようなオチで、はい、さようならだしなあ。

ああ、なんてことでしょう。最後の最後にこの腰砕けは・・・。

「ガンツ PERFECT ANSWER」の星人のほうが、まだ粘りがありましたよね。松山ケンイチさん、ほんとにお疲れ様でした・・・って、ここで言ってどうする。

「変な自信とプライドを持った敵(悪)が、なんだかんだ言いながら、結局は正義の前に敗れ去る」というワンパターン、イイカゲン、見なおしたほうが良いのでは?

「ドカベン」という懐かしい野球マンガがあります。主人公の所属する明訓高校野球部は、甲子園で常勝を誇る強豪なんですよ。ところが、試合前に余裕あるのは敵校のほうで、「ふふふ、明訓、破れたり!」なんて意味不明の強気をかましているんです。色めき立って動揺する明訓ナイン(なぜだ?)。でも結局は、勝つのは明訓であって。。。おいおい、敵校の「明訓、破れたり!」はブラフだったのかい!

「ドカベン」当時は良いとして、今でも、同じようなベタ流れでしか、ドラマを盛り上がげるすべはないんでしょうか?

ハリー4.jpg

ハリー・ポッターシリーズ、10年近くもネタを引っ張ったわりに最後に、あ~あ、てなもんです。

ということで、本作から得た教訓を現場KY風にまとめました(専門ネタでスイマセン)。

蛇のしつけはしっかりしよう!ヨシ!

敵を倒したあとはトドメを刺そう!ヨシ!

無意味な余裕をかますヒマがあったら仕事をしよう、ヨシ!

ご安全に!


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映画 「沈黙の宿命 TRUE JUSTICE PART1」 もはやコメント不要(不能?)のセガール軍団! [映画]

日本の夏。暑いです。強引ですが、そんなときこそ映画を観るべきでしょう。

なぜなら映画館は冷房が効いているからだっ・・・うわっ、なんて即物的な理由だ!

シリアスなサスペンス映画や、心打つ人間ドラマは猛暑には向きません。暑さを吹き飛ばすには、豪快で無茶苦茶で支離滅裂な作品ほど良い。要するにバカバカしい映画でないとね!その条件にぴったりの作品はこれしかありません!

スティーヴン・セガール御大ご主演「沈黙シリーズ」最新作である!

「沈黙シリーズってまだ作ってんのぉ?マジィ~?」と失礼な驚き方をしたアナタ。本来ならアナタの顔面にセガール御大の「沈黙拳」が炸裂するところですぞ。

アナタの疑問に対してワタクシはこう答えましょう、「都内で唯一、セガール映画を公開し続ける聖地、銀座シネパトスに行ってみたまえ」と。そこは怪しい異空間。セガールを師を仰ぐ屈強な男たち(平均年齢70歳?)が座席を埋め尽くして・・・はおらず、せいぜい10名程度のオッサンがユルユルとスクリーンの「沈黙・・・」を眺めているのである。

バカにしてはいけません。劇場がガラガラだろうと御大の評価に揺るぎなしであります。セガール師は「世評」など関心はなく、とうの昔に俗世を超越した存在なのだから。ブッダの悟りの境地!というよりは、

やりたい放題、好き放題の仏像オヤジなのである!

駄言を弄している場合ではありません。御大の最新作について語りましょう!!

沈黙の宿命 TRUE JUSTICE PART1 2010年米

監督 キオニ・ワックスマン 出演 ステーヴン・セガール、ミーガン・オリー、ウォーレン・クリスティー、サラ・リンド、ほか

沈黙の宿命P.jpg

嬉しいくらいお約束どおりの「セガールちっくな映画」であった・・・ああ、あっけなく作品を総括しちゃった。以上です。つーのもソッケないので一応、グダグダ書かせていただきます。

今回の御大はシアトル警察の特別捜査隊(SIU)のボスであります。4人の若い部下(といっても30~40代ですが)を率い、アジア人夫婦の射殺事件を捜査するうち、冷酷なマフィアの存在に辿り着くのであります。悪党どもの資金源である麻薬取引を阻止し、キャツラにふさわしい制裁を加えるべく最強チームは「決戦」に挑むのであった・・・チャンチャン。

うーん、熱く語ったつもりが、うわっつらストーリーをなぞっただけになったなあ。

沈黙の宿命1.jpg

今回の目玉はオヤジ最強チームともいうべき、捜査隊の活躍です。メンバーに個性があって(セガール映画らしからぬ)良い味出してるんです。特に女性捜査官2名は、分かりやすい美人であります、たぶん御大の好みの俳優なのでしょう。さすが、体はブクブクになっても、スケベエ根性は健在でありますな、このオヤジっ!

これまでのセガールさんといえば、一匹狼を演じるイメージじゃないですか。たとえ捜査チームの一員だとしても、他人の助けなどいらん!と、単独強引に暴れちゃう。ところがですよ、今回はチームの部下たちに「役割を分担させ」「適確な指示」をするんです。無能っぽい上司に対しては、大人の対応まで見せるのです(けっして殴ったりしません)。

要するに、しっかり管理職してるのです。「あこがれの上司といえば」星野仙一か、セガールかってなもんですなあ。

御大、ついに第一線を退き、後進育成に特化する決意をしたのか?・・・と油断させといて、この映画のラスト。最大の敵である、大物ロシアン・マフィア、ニコライへの鉄拳制裁&逮捕は、若手には任せず、きっちり自分でカタをつけるのだった・・・うーん、結局、最後は自分かよ!

部下に花を持たせる気は無いのかよ!あくまで「一番美味しいところはオレがいただくぜい」ってかあ。

ま、究極の「ご都合主義映画」、かつ御大がすべてを支配する映画ゆえ、深く考えず楽しめばヨロシイ!ってことですかね。あははは

沈黙の宿命2.jpg

全体にユルユル展開ですが、どんな映画にも「ここは」という見応えのあるシーンが存在します。本作では、女性捜査官二人が、マフィアの取引場所であるクラブに潜入、悪党ボスとテーブルをはさんで会話するシーンが良かった。すでに敵に、潜入捜査官ということがばれているわけです。腹の探り合い会話はスリリングですよ~~ドキドキしましたね~。クエンティン・タランティーノ監督「イングロリアス・バスターズ」を彷彿とさせる・・・・おっと、それは褒めすぎですね。

沈黙の宿命3.jpg

書けば書くほどだらしない記事になってきたので、そろそろ終わるとしましょう。

本作は「PART2」があるらしい。次回の「最強チーム」の活躍にもおおいに期待!(ホントはそれほど期待してないけど)、静かに続編をお待ちするとして。

最後にエールを送りましょう!

セガールオヤジ、まだまだ枯れず!

あと100本は「御大らしい無茶映画」お願いしまっ!


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映画 「ブラック・スワン」 予想外のホラーテイストに嬉しくなりました! [映画]

映画「ブラック・スワン」であります。そろそろ公開も終わりですね、多くの映画ファンは観終わったでしょうから、今日は思いっきりネタバレでいくぞ~~。わはは、気持ちいい。

可愛いお嬢ちゃんイメージの女優ナタリー・ポートマンさんの「別の顔」を前面に打ち出し、彼女にアカデミー主演女優賞を、映画に大ヒットをもたらした、過去1年で最も成功した作品といえましょう。

しかし、私は、見事にこの映画にしてやられましたね。「レクイエム・フォー・ドリーム」のダーレン・アロノフスキー監督作ですから、一筋縄でいくまい、と予想はしてましたが、まさか、ここまでダークかつ、サイコな作りとは・・・一歩間違えたら、B級ホラーになりかねない危険な賭けにアロノフスキー監督と、主役ナタリーさんは果敢に挑戦し、見事「勝った」と断言しましょう!アッパレなり!

ブラック・スワン 2010年米

監督 ダーレン・アロノフスキー 出演 ナタリー・ポートマン、ミラ・クニス、ヴァンサン・カッセル、ウィノナ・ライダーほか

ブラックスワンP.jpg有名クラシック・バレエ団の頂点(プリマ)を目指し、しのぎを削る若いバレリーナたちのドロドロした確執と葛藤を描く人間ドラマ・・・前宣伝から、そんな内容を予想していたワタクシです。いわゆる北島マヤと姫川亜弓の「紅天女」の主役争いってかぁ・・・うわあ、たとえが古いわっ!

たしかに、「ブラック・スワン」でも、主人公ニナ(ナタリー・ポートマン)とライバル、リリー(ミラ・クニス)のトップ争い、具体的に言えば「白鳥の湖」のスワン役をめぐる確執が描かれます。しかし、驚いたことに、この映画、ニナとリリーのライバル対決は、しょせん添え物にすぎないのであります。

では、この映画の核心は何か?といえば。

ずばり、主人公ニナの狂気、に尽きます。

愛情を押しつけ何事にも干渉してくる母親に「監視」され精神の自由を奪われ、一方で、有名バレエ団の海千山千の同僚たちと役を争わねばならないストレス。ひとつの目標に対し、あまりにもストイックに努力するニナの鬱屈した精神・・・映画の前半でこれらが見事に描かれます。

バレエ「白鳥の湖」に登場する、善と美の象徴=白鳥(ホワイト・スワン)と、悪の象徴=黒鳥(ブラック・スワン)が、同じバレリーナによって演じられるというアンビヴァレンツな設定こそが、まさにニナの精神の分裂そのものなのです。そう、やがて狂気の「黒」が彼女の「白」を覆い尽くしてしまうことになる・・・。

ホント、脚本が上手いわっ!

ブラックスワン3.jpg

劇中にも出るセリフですが、彼女の敵はライバルのリリーでもヴェロニカでもなく、「彼女自身」だということです。

胸はぺったんこ、やせっぽち、セクシャル・アピール要素はゼロ。女性なら当たり前の化粧すらおぼつかない。セックスどころか、男性とのキスも出来ない未熟なニナ。自分に自信がもてず、いつもオドオドし、二言目には「ごめんなさい」と言って演出家から怒鳴られる始末。ナタリーさんが、このグズグズ・キャラをあまりにも上手く演じるため、オボコ(死語?)カマトト(死語?)っぷりにイライラ~としてくるんですけどね。

ところが映画はゆっくりと、しかし確実に、彼女の妄想と幻覚をスクリーンにあぶりだしていくんです。うわあ、このあたりから、かなり怖いぞ、怖いぞ・・・。

まずはサスペンス映画のように地味に・・・たとえば、ニナが、暗いガード下で、自分とそっくりな女性とすれ違い「あっ」と驚く場面。かつてアラン・ドロンが演じたウイリアム・ウィルソン(主人公が自分の分身=ドッペルゲンガーに悩まされる)を思い出させる卓抜なシークエンスです。「狂気」の発端を描くとともに、その後の伏線にもなってるんですから。

ブラックスワン4.jpg

主役スワンの座に大抜擢され、突然、注目の的となるニナですが、今度は主役を演じるプレッシャーに押しつぶされそうになり、練習でミスを連発します。同僚の言動は、自分を主役から引きずり降ろそうとする悪意に満ちたものに思え、公演初日に向かって彼女の狂気は加速しはじめます。

精神を崩壊させていくニナの目に映る、血しぶき散るホラーのごとく、凄惨な幻覚・・・。

ニナがトップの座を奪う形になった、元プリマのベス(ウィノナ・ライダー)は自暴自棄となり交通事故で両足の機能を失います。過去に出来ゴゴロからベスの持ち物を盗んだニナは、罪悪感にさいなまれ、ベスの病室を訪れて謝罪しようとする。ところがニナのこの行為は逆効果で、ベスは自らの顔に何度も刃物を突きさし血まみれになる・・・こんな悪夢の光景を生むのであります。うひゃーー怖い。

こうした節操のない盛り上げっぷり、大歓迎であります。

ところで、偉大な映画の条件のひとつは、「細部が徹底して作り込まれていること」ですが、本作はそこも抜かりはありません。ニナは寝ている最中、無意識に、血が出るくらい肩甲骨のあたりの皮膚をかきむしるのです(幼少期のトラウマをにおわせている)。不安定な情緒を象徴するシーンなんですが、これが凄まじい伏線になっているわけです。

いよいよ「白鳥の湖」の公演直前、プレッシャーとストレスと幻覚からボロボロになっているニナですが、自傷した肩の引っかき傷から黒いものが「生えている」のを発見するんです。愕然とするニナ・・・。

すでに、自分の精神の異常に気づいている彼女ですが、もはや、後には引けません。

「白鳥の湖」初日。自分の役を奪おうとしたライバル リリーを殺し、死体をクローゼットに隠したニナは、白鳥(ホワイト)としてステージに登場します。精神の混乱と、自分のバレエに自信が持てないため、踊りは精彩を欠き、あげく、見せ場のリフトシーンで床に落ちてしまう・・・。

極度のパニック状態のなか、今度は、衣装と化粧を変え、黒鳥(ブラックスワン)としてステージに出なくてはなりません。

そして、映画の最大のハイライトです。

最初は動きの硬いニナですが、次第に「ブラック・スワン」が”乗り移ったように”踊りは熱を帯び、やがて凄まじい表情と踊りへと変貌していきます。鬼気迫る迫力と表現力に、公演会場は大熱狂に包まれます。そして、圧巻は、例の肩の傷から、真黒な大きな羽が、どばーーっと生えてくるシーン!

「うわあ、出たぁーー!」と叫びそうになりましたね~。

ブラックスワン1.jpg

そう、ニナは狂気の果てに、自らの殻を破り、ついに「本物」に変身した、というわけです。

脇道にそれますが、本作の海外版ポスターは以下で、日本版よりも内容を適確に表現した良いアートワークだと思うのですが。。日本じゃあ「ひび割れた主演女優の顔」のポスターは受け入れられないでしょうけどね・・・。

ブラックスワン2.jpg

さて、映画は、悲愴な結末ながらも、それまでのエキセントリックさを埋め合わせるかのように、ニナの平和と愉悦に満ちた表情で締めくくられるのでありました。いやあ、満足満足。パチパチ・・・・。

他出演者、たとえば、ニナの母役や、ライバルのリリー、演出家のトマ(ヴァンサン・カッセル)も大健闘ではありますが、究極、この映画はナタリー・ポートマンさんの「ひとり芝居」であります。バレエシーンも見事であり、ここは素直に主役にエールを送ることにしましょう。パチパチ・・・・。

ここまでやっちゃと、ナタリーさん、次の出演作選びが大変じゃん?と思ったら、なんと、SFアドベンチャー「マイティ・ソー」(公開中)ですからね、彼女、頭がいいわ、やっぱり。ここでもパチパチ・・・・。


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映画 「X-MEN ファースト・ジェネレーション」 ヒットシリーズの前日譚としてはベストの出来! [映画]

ハリウッドのヒットシリーズ映画って、しばらくすると「前日譚」(時間を遡って「以前」の出来ごとを描く)が登場しますよね。

二匹目のドジョウ、ってやつなんでしょうけど、不思議と邦画には少ないです。「フーテンの寅さん、ビキニング」、とか、「釣りバカ日誌、浜ちゃんライジング」・・・たしかに違和感ありますね。

邦画の場合、キャラクターと俳優が分かちがたく結びついてて、同一キャラを俳優を変えて別映画にすることに無理があるんでしょうね。大河ドラマのように、主人公の幼年時代と、成年時代を別俳優が演じ分けたとしても、それ「全体」で1本とみるのが、日本人感性だと思います。

ま、そんな小理屈は別として、もともと「前日譚」映画に違和感のあった私です。

特に若い頃の主人公が、お馴染みの「後の姿」と、あまりに落差があると、それだけで違和感ぬぐえませんよね~~。たとえばこの例はどうだあっ!

ハンニバル1.jpgハンニバル2.jpg

上左=「ハンニバル・ライジング」の20代のレクター博士(ギャスパー・ウリエル)。そして数十年たつと、上右=おなじみのハンニバル・レクター(アンソニー・ホプキンス)に変ぼう・・・映画的にはアリなんでしょうけど、長顔イケメンが、丸顔オヤヂになるなんて100年たってもありえんぞ。このキャスティングには無理あるでしょうがっ!

そこをツッコムのも大人げないと自覚しつつ、4本を数えるヒットシリーズ「X-MEN」の、数十年「前」を描く「X-MEN、ファースト・ジェネレーション」。どんな出来栄えだったのでしょうか?

X-MEN ファースト・ジェネレーション 2011年米

監督 マシュー・ヴォーン 出演 ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ケヴィン・ベーコンほか

X-MENP.jpgミュータント軍団 VS 人類・・・というより、プロフェッサーX率いる「善側」 VS マグニートー率いる「悪側」の壮絶なミュータント戦争を描くSFアクション・シリーズの「そもそもの始まり」であります。

「前日譚」映画には目を覆いたくなる駄作も多いですが、「X-MEN ファースト・ジェネレーション」は、ずばり、ひじょうに良く出来ていると思いましたね。既公開作品のテイストをしっかり踏襲し、人物の描き方も丁寧。満足しました。

反目するプロフェッサーXと、マグニートーが、かつて盟友だった事は、以前も触れられており、サプライズはありません。

本作のメインテーマは、むしろエリック(後のマグニートー)の個人的復讐なんですね。エリックは、ドイツの収容所で母を殺したミュータント(ケヴィン・ベーコン)を追いかけて、彼を殺すことに全霊を傾けているのです。ケヴィン・ベーコンが「インビジブル」のとき以上に、”こいつ殺したろか”と思わせる完璧な悪役っぷりで嬉しくなります。うーん、彼の俳優キャリア的には、いいのか、悪いのか。

復讐劇の結末は、映画館でご覧いただくとして、エリックが人類総てまでを憎むようになる背景が分かりやすく、かつドラマチックに説明されています。それゆえ、映画に一本芯が通った印象でした。CGや派手なアクションに走りそうな作品にも関わらず、節度があるなあ、と感心しきり。

X-MEN6.jpg

復讐に燃えるエリックをいさめて、ミュータントと人類の和解を解くのが優等生的な物理学者チャールズ=のちのプロフェッサーXです。人間相関図も上手く、出来ております。チャールズと兄妹同然に育った全身青色のミュータントのレイブンが、チャールズではなく、エリック側につく顛末も「なるほどねえ」と腑に落ちましたよん。

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結局、ふたりのカリスマ・ミュータント(チャールズとエリック)は互いの考えを受け入れず、映画ラストで、袂を分かつ、のですが、「その先」を観たいとワクワクさせる作り方が上手い。「その先」の映画って、すでに観ちゃってるんですけどね。あはは。

要するに、SFアクションは「ハナシがしっかりして、かつ、分かりやすくなければダメ」ってことですね。本作はホントに、その点が良かったです。

と、強引にまとめて、書くことが無くなりました。以上です。

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・・・・おおっつと冒頭のネタを忘れてはいけませんね。

主人公チャールズ(後のプロフェッサーX)を演じているのは、ジェームズ・マカヴォイさん。ナルニア国のタムナスさんです(そこかよ!)。そして「ラストキング・オブ・スコットランド」ではアミン大統領にボコボコにされる青年医師を演じ、「ウォンテッド」でもボコボコな目にあうという、ワタクシ大注目の、映画界一のやられ上手な若手俳優であります。

(「ウォンテッド」のブログ記事はこちら→クリック

体に染みついた「いじられテイスト」を払拭すべく、本作では堂々の主演です。リーダーっぷりも頼もしく、オレをやられ上手とは言わさないぞ、という強い決意を感じました(ホントかよ)。

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これも10年間、「かわいがり」されたおかげでしょう。なるほど、「若い頃の苦労は買ってでもしろ」というのは正しかったのですね。

さあて、X-MENシリーズのプロフェッサーX。童顔はいってるマカヴォイ君が、果たして数十年後に、こんなツルパゲのコワモテになるものでしょうか?問題はそこだっ!・・・って、結局そのツッコミかよ?あはは。

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映画 「アジャストメント」 運命調整局のオジサンたちの、レトロ風味は捨てがたいが・・・ [映画]

ここ2週間で観た映画3本に対して、ざっくり「星五つ」で評価をしちゃいましょう。

① 「キッズ・オールライト」  ★★★★★ (星5つ!の満点)

これは掛け値なしの名作です。辛口&変化球系のホームドラマですが(ひねり過ぎ?)、アネット・ベニングの凄味満点の演技を観るだけでも映画館に行く価値があります。中盤の緊張感の反動からか、ラストシーンのさわやかさに号泣~号泣~であります。ずばり、必見です!本年観た映画のなかで暫定2位、といたしましょう!

② 「パラダイス・キス」 ★★★★☆ (星4つ!)

北川景子さん大好きのワタクシとしては、観ないわけにはいきません!ストーリーはベタベタながらも泣けた。いいねえ、これぞ「日本の誇る女子コミック」の理想郷です。好みではなかった俳優、向井理さんも本作では実にステキ。ちなみに、ファッション界を舞台にした映画のわりに「うむむ・・・」と悩んでしまう登場人物のファッションとメイク・・・。正直なところ、北川景子さんは、冒頭のストレートヘアー&女子高の制服姿(「やぼったい」という設定)こそが一番、可愛いのでは?・・・という、ミもフタもないツッコミをしてはいけませんね。

③ 「アジャストメント」 ★★★☆☆ (星3つ)

ホント好きだよねえ、アメリカ人はこの手のハナシが・・・という、フィリップ・K・ディック原作のサスペンス系SFであります。設定&展開が食傷気味ゆえ、★(星)は3つとさせていただきましたが、意外や、この映画には(たぶん作った側も考えていなかった?)素晴らしさがあるのです。

というわけで、本日は映画「アジャストメント」について書きますよお!・・・って、3本のうち、一番、評価の低い映画について書くのかよ?

アジャストメント 2011年米

監督 ジョージ・ノルフィ 出演 マット・デイモン、エミリー・ブラント、テレンス・スタンプ、アンソニー・マッキーほか

アジャストメントP.jpgスラム街出身ながら上院議員を目指して選挙に出馬した若手政治家デビッド(マット・デイモン)。順調だった選挙活動中、つい羽目をはずし下半身露出という、スマップの草薙君的失態をおかして落選します。失意のなか、”偶然に”出会った女性エリース(エミリー・ブラント)に好意を持ちます。連絡先も交わさないまま、その場は別れた二人ですが、通勤バス内で”偶然に”再会した二人は、改めて「一目ぼれ」・・・運命の女性に会ったと舞い上がるデビッドですが、その直後、とんでもない事件に巻き込まれるのです。

謎の男たちが、自分の同僚に対しマインドコントロールしている「現場」に遭遇するのです。逃げるデビッドですが、男たちに拉致され「今観たことは絶対に口外しないこと」を約束させられます。

謎の男たちは「アジャストメント・ビューロー」(運命調整局)の者だと名乗ります。彼らは人間ではなく、人類を監視し、人類が間違った道を選択しそうになると”正しい運命へと調整”するのだと説明します。そしてデビッドに対して「二度とエリースには会うな。エリースと会うのは『正しい運命』ではない」と言い放ち、彼女の電話番号メモを焼き捨て、姿を消します。

しかし「会うな」と言われると、会いたくなるのが古今東西の人間の性ですねえ。意固地なデビッド君は、もう一度の”偶然”に賭け、エリースと出会った通勤バスに3年間乗り続け、ついに彼女を発見!

こうなると、どうにも止まらない~♪(なつかしいなあ)暴走デビッド君ですが、調整局がそれを見逃すはずがありません。あの手この手で二人の接近を妨害しますが、手にあまると、ついにハンマーの異名をもつ「伝説の調整員」(テレンス・スタンプ!)が登場・・・デビッド君の「運命」、いったいどうなるのか?

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さて、この映画。

人間は自由意志で、みずからの運命を切り拓いているようで、実は「運命はあらかじめ決められている」という予定調和説がテーマなんですね。その真実を知ってしまった主人公がコワイ目にあうわけです。

何がコワイか、というと、運命調整局からの「調整」というダイレクトな恐怖もさることながら、自由意思なるものが、なんら意味を持っていないという、虚無、なんですよね。人生や運命が決まっているとしたら、極論、死すらも決まっているわけです。そうなると今の努力や恋愛、自己存在すらも無意味になってしまう・・・。

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天才数学者にして哲学者だったライプニッツが、「世界とは、神が最善な選択をされた結果なのだ」とした予定調和説を唱えてから(表向きはそれを否定しても)西欧文化に数百年間、じっとりと根をおろしてきた世界観なんだよなあ、と、なんとなく腑に落ちてしまうわけです。(ちなみに、ワタクシ個人は、ライプ二ッツの「最善説」「予定調和説」をかなり強く支持するものです)

本作の主人公が決められた運命・・・正確には運命調整局のひいたレール、に逆らって、エリースとの愛を貫くことは、哲学的意味で自分を取り戻す、ということなんですね。

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・・・と無理に哲学っぽく語ってみたのですが、結局はアメリカらしく、精神性より娯楽性を優先したベタな映画であることは変わりません。運命調整局のオジサンたちの、わざとらしいオールド・テイストなファッション、人間ではないのに人間なみに「オレ、これで良いのか」と悩んでしまう半端な擬人化。そしてデビッドに翻弄される調整局員の手ぬるさ&右往左往っぷりは、関西芸人でなくても「いいかげんにしなさいっ!」とツッコミたくなる体たらくです。

こう書くと、いっきに冷ややか目線になるところですが、な、なんと、そこではない「ツボ」にワタクシははまりましたね。

この映画、SFサスペンス部分は別として、主人公デビッドと、ダンサーのエリースとの出会い、別れ、再会、そして名作映画「卒業」かあ?と言いたくなる後半、こうした”恋愛部分”が実にチャーミングでステキに描かれているのであります。二人の会話はユーモアとウィットに富んでるし、俳優の力量もあって二人が交わす視線や所作に「愛」が満ちているんですねえ。

SF映画でなく、恋愛映画に作りなおしたほうがいいんちゃうか?と思いました、マジで。

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しつこいですけど、この手の映画ってプロットばかりに凝って、登場人物の心の襞や葛藤、恋愛感情といった「細かい点」がオザナリになるのがふつうです。ところが「アジャストメント」は、そこをキッチリ描いていて好感が持てましたね。細部にこそ神は宿るのであって、そこにリアル感がないと、それこそ荒唐無稽な絵空事になってしまいますもん。

ということで、SFサスペンス部分は★2つ、恋愛ドラマ部分は★4つ、足して2で割って、総合評価「★3つ」とさせていただいた次第です。ははは。

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ところで添え物感がぬぐえない運命調整局の面々ですが、御大テレンス・スタンプさんが登場したときは、おおおーーっと感激しました。クリストファー・リーブ主演のスーパーマン映画(古っ!)での悪役っぷりを思い出しました。いや、むしろ、「イエスマン」の教祖様のほうだなあ・・・無表情でありながら、威圧感だけではない「味」を出しちゃう名優ですね、まさにはまり役でした、パチパチ。


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映画 「マーラー 君に捧げるアダージョ」 観て損のない音楽映画。しかしアルマ・マーラーが・・・ [映画]

いつの間にやら関東も梅雨入りです。いやな季節になりました・・・と時候の挨拶からはじめるほどブログ更新をさぼっていたわけです。あははは。

さて本日ご紹介の映画は、かなりマニアックです。有名音楽家の伝記映画(という表現も微妙だけど)。描かれる有名人は、クラシック音楽好き以外に食指が動かないであろうオーストリアの作曲家グスタフ・マーラー(1860~1911)であります。

実はワタクシ、クラシック音楽にゾッコン人間でして、CD保有数は約2000枚(←ここ自慢です)、昨年は、1年間にマーラーの全交響曲10曲(番号付き9曲+「大地のうた」)をコンサートで聴く快挙(?)も成し遂げたほどです(←ここも自慢ですぜい)。

ということで、映画「マーラー 君に捧げるアダージョ」は絶対に観ねばなるまい!と、いきごんだのですが、驚いたことに東京でさえ渋谷の1館のみ上映(納得できん!)。結局、出張先の大阪(梅田)で拝見したのであります。

マーラーと聞いて、ケン・ラッセル監督の映画「マーラー」(1974年)を思い出した方は、私に負けず劣らずマニアックですね。あの映画はすごかったなあ。ドイツ語圏の作曲家なのに、英語をぺらぺら話すのはご愛嬌として(イギリス人俳優が演じている)、うつ気味で体調めちゃ悪そうな晩年のマーラーがあまりにもツボにはまってました。汽車で移動しながら、過去の人生を反芻するマーラーさん。しかし、奇才ケン・ラッセル監督、一筋縄ではいきません。ブラックユーモアと奇矯な演出で味付けされ、キッチュなテイストは、正統な伝記映画とは言いがたい怪作です。が、それゆえ魅力的なわけです。バックに流れるマーラーの楽曲は、冒頭を交響曲3番(の第一楽章)で幻想的かつ不安な夢世界を描き、ラストは交響曲6番(のいわゆる「アルマのテーマ」)で希望を描く。選曲センスは抜群でしたねえ。

こんなケン・ラッセル監督の金字塔(?)を前にして、本場オーストリア・ドイツによる合作映画「マーラー 君に捧げるアダージョ」、どのように天才作曲家を描くのでありましょうか!?

マーラー 君に捧げるアダージョ 2010年 オーストリア/ドイツ

監督 フェリックス・アドロン&パーシー・アドロン 出演 ヨハネス・ジルバーシュナイダー、バーバラ・ロマーナー、カール・マルコヴィクス

マーラーP.jpgストーリーと直接関係ないのですが、大感動した点を書きます。それはバックに流れるマーラー楽曲(の演奏)です。本当に素晴らしい!既存録音からの切り貼りではなく、この映画のために、若手名指揮者エサ=ペッカ・サロネンさんがスウェーデン放送交響楽団を振ったそうです。これらを聴くだけでも映画館に行く価値があります、断言しますね。

昨年、サロネンさんの実演(フィルハーモニア管)を聴いたときの感動がよみがえりました。ウィーン・フィルとの来日公演(マーラー9番!)が別の指揮者に代わってしまい、チケット払い戻した痛恨の思い出さえ、今回の映画(音楽)で多少埋め合わせられた気分です。

ちなみに、エサ=ペッカ・サロネンさんは、俳優のジャン=マイケル・ヴィンセントに似たイケメンなのであります。どうでもよい話ですが・・・。

さて本題の映画について書きましょう。

「マーラー 君に捧げるアダージョ」、よい意味でソフィスケートされておらず、ケレン味たっぷりなところがおおいに気に入りました。(最初の20分、映画に入り込めずにムズムズしましたけど)

冒頭、スクリーンに”注意書き”が映し出されます。いわく「起きた出来事は史実、どのように起こったかは創作」。そのココロは何か?本作はマーラーの妻だったアルマが、夫の死後に出版した自伝に基づいて作られています。で、この自伝なるものが実に怪しく、執筆したアルマ有利に歪曲されているように思われます。マーラー=悪者(加害者)、アルマ=被害者の構図がありありですもん。長生きしたほうが得ってことで、ちょっとイラッとくるのですが、本作は上手い切り口で、そのハンデを乗り越え、痴話げんかを高尚な(?)「愛の物語」に仕上げたんですねえ。

マーラー3.jpg

音楽家として苦悩する夫=マーラーをよそに、若いイケメン建築家と不倫セックス三昧の妻=アルマ。思わぬ形で不倫がばれ、ご夫婦&浮気相手の泥仕合へと発展します。絶望で精神混乱にいたったマーラーは、著名な精神学者フロイトのもとを訪れ心理療法を受けるのです。

フロイトの治療は「愛するがゆえ、妻に対し独善的に振舞う」マーラーの”欠陥”をあぶりだしてゆきます。空気を読めない音楽馬鹿マーラーと、頑固で容赦のない精神医学の祖フロイトの丁々発止のやりとりが実に面白い。マーラーのせっかち&自己中っぷりはフーテンの寅さながらにユーモラスであり、一方のフロイトは「セックスはしていたか?」という質問を何度も発し、マーラーを激昂させる・・・こんな調子で、なかなか大胆な味付けがなされています。

「英国王のスピーチ」のジョージ国王とローグの関係のように、相反する二人がやがて共感を抱いていく展開は、予定調和でゲンナリしそうですが、本作は登場人物を戯画化して、あえてリアリティを追求しない「逆手」が成功して、それなりに楽しむことができました。

マーラー2.jpg

内容について、もう少し詳しく書きましょう。

20歳そこそこでピアノの名手、作曲までこなす当代一の美才女アルマ。19という年齢差を超え、音楽の絆で結ばれ、結婚したマーラーとアルマですが、最初のつまづきはマーラーが彼女に作曲を禁じたことでした。一度は音楽を捨て、従順な妻に徹しようとしたアルマですが音楽活動一辺倒の夫と気持ちが行き違うようになります。決定打は愛娘の病死です。自責の念から、アルマは「何か」を求め不倫に溺れてゆくのですね。(うーん、この女、自分の不倫をかなり正当化しとるなあ~おいおい。)

マーラーは、フロイトの助けで、自らの過去を振り返り、そこかしこに自分の「至らなさ」を発見するのであります・・・と書くと、ベタな主人公反省ドラマに聞こえましょうが、それ以上の「愛の本質」にまで思いをはせるのは、さすがは天才マーラー!(←ここまで創作するなよっ!)

うっすらと、ですが「希望」を見出したマーラー。フロイトとの「旅」を終えた作曲家の表情には、冒頭の絶望はありません。ラストシーン、素晴らしい音楽をバックにマーラーの独白がかぶります。

「愛は愛を、真心は真心を呼び起こす」

愛は奪うものではなく、与えるもの・・・うーん、なんだか、説教くさい空気にまとめてしまったが、今回はこんな程度でご容赦ください。

前述のように、ちょっと芝居がかった演出が鼻につきますが、真摯にマーラー夫妻の人生に向かい合った佳作だと評価しておきましょう。

マーラー1.jpg

最後に一言。マーラーとフロイトを演じている俳優さんはバッチリでした。しかし、物語の台風の目であるアルマ・マーラーを演じている女優さんは(あくまで個人的好みですが)とても美女とは思えず、気の強いおばちゃんって感じでプチがっかり。劇中での彼女のモテモテっぷりが、妙~な雰囲気でした。ま、そんな点がヨーロッパ映画らしいよね、と納得しておきましょう。チャンチャン!


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映画 「アンノウン」 これは面白い!アイデンティティ喪失系映画のお手本のような作品です。 [映画]

本日は少々「分析口調」になりそうですが、ご容赦を。

映画「アンノウン」(公開中)であります。予想通り(?)、設定と展開が強引で、普通に考えるとスットコドッコイ映画のはずなんですが、ずばり面白かった!拍手喝さいを送りたいですね(皮肉ではありません)。映画好きの方は、バカにせず是非観て下さい、と申し上げたいっ!

もちろん「なんじゃあ、こりゃ!?」と拳を固くする方もいるでしょう。矛盾をあげればキリがありません。しかし、本作はオチもさることながら、主人公の心理的不安や葛藤、登場人物どうしのカラミに力点がおかれ、そのうえ、後半は派手なアクションシーンまで楽しめる、という「一粒で二度・三度美味しい(古いな~)」作品です。グチャグチャにならずに、上手くまとめており、やるなあ~と感心しましたよ。

本作は、数年に1回、お約束のように公開される、「主人公が自分を喪失する」あるいは「自分だけが周りと違う認識をする」というネタなんですね。欧米人って潜在的な”存在不安”があるのでしょうか、ホントにこの手のハナシが好きですよねえ。

たとえば数年前の「フォーガットン」というサスペンス映画。ジュリアン・ムーアが演じるフツーの主婦が、ある朝、息子がいないことに気づきます。いない、というのは、存在自体キレイさっぱり無くなっているわけです。息子に関するもの(写真、持ち物)は何ひとつ存在しない。周囲の人たちは「あなたに息子なんていなかったわよ!」と当たり前のように言う。主人公は、無茶苦茶、混乱するわけですね。どこへ息子は消えた?なぜ誰も息子を覚えていない?ま、この映画の「オチ」は史上まれにみるエキセントリックな破壊力がありますので、未見の方、DVDを借りて大笑いして下さい。

おっと、何を言いたかったかといえば、「主人公が、自分や家族のアイデンティティ(存在証明)を探し求める」というサスペンス映画が、ハリウッドには実に多いということでした。

「フォーガットン」以外にも、ジョディー・フォスター主演の怪作「フライト・プラン」。あるいは「ボーン・アイデンティティ」シリーズ。ニュアンスは違いますが、言葉の通じない異国(日本)での精神的孤立を描いたスカーレット・ヨハンソンちゃんの「ロスト・イン・トランスレーション」←これは良かった!

ただし、ほとんどの作品が「なんやねん、これ?」という脱力雰囲気に仕上るのは不思議です。それでもまだ作るか、この手の映画を?

あれれ、前置きが長くなりました。そろそろ映画「アンノウン」にとりかかりましょう。過去の同類映画とは、どー違うのか?を確認しちゃいます!

アンノウン 2011年米

監督 ジャウム・コレット=セラ 出演 リーアム・ニーソン、ダイアン・クルーガー、ジャニュアリー・ジョーンズ、ブルーノ・ガンツほか

アンノウンP.jpgアメリカの植物学者マーチン・ハリス博士(リーアム・ニーソン)は、美しい妻リズを伴い、国際学会に出席るすためドイツのベルリンにやってきます。タクシーでホテルに着いた二人ですが、パスポートを入れたアタッシュケースを空港に残したことに気付いたハリス博士は、別のタクシーで「ひとりで」空港に戻ります。

このタクシーが酷い交通事故に遭うんですね。頭を強打した博士は、意識不明の昏睡状態に陥ります。病院のベッドで目覚めたハリス博士は、事故から4日も経過していることを知り仰天!医者の制止を振り切って、妻のいるホテルに向かいますが、そこから衝撃の展開が始まります・・・・。

妻は何事もなかったようにパーティで談笑しています。事情を説明しようとするハリス博士に対して彼女の発した言葉は「どちら様ですか?」。あっけにとられる博士、「からかっているのか?」。ところが、さらに驚くべきことに、妻の横には”自分ではない”マーチン・ハリス博士がいるではないか・・・・。

「自分がマーチン・ハリスだ!あいつは偽物だ!」と必死に主張する博士ですが、身分証明できるパスポートもなく、証明する人もなく、狂人扱いでホテルをつまみ出されます。いったい何がどうなったのか?インターネットで自分の大学のHPを見ても、ハリス博士の顔写真は「偽物」のほうで自分ではない。事故の打撲で、頭が狂ったのか?

ところが、あるきっかけで「自分こそがハリスだ!」と確信した彼は、事故タクシーを運転していた女性ドライバー(ダイアン・クルーガー)を見つけ出し、彼女の協力のもと、異国の地ドイツで、”自分がマーチン・ハリスだと証明する戦い”に挑みます。

さて、この映画。

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何が良いかと言えば、第一に、主人公ハリス博士を演じるリーアム・ニーソンさんの演技ですねえ。さすがはアカデミー賞俳優、上手いっ!自分を失う恐怖と不安もさることながら、愛する妻を自分を名乗る偽せモノ?に奪われた憤りが、ひじょーにリアルで良い。つい「分かる、分かる」と妙に納得です。すっかり感情移入しちゃいましたもの。最近は「特攻野郎Aチーム」「タイタンの戦い」など関西仕事が多かったリーアムおじさんですが、久しぶりに演技派の面目躍如といえましょう。パチパチ!

アンノウン1.jpg

第二の良い点は、脚本の素晴らしさ。前出のように、本作は、設定と展開にかなりの無茶があります。ですから「荒唐無稽なハナシを、そうと感じさせないプラス要素」が絶対に必要なんです。すなわち、脚本の出来にかかってる、と言って過言ではありません。登場人物、セリフ、展開で、観客をグイグイ引っ張れば、(個人的には)無理な設定も気にならない、いやむしろ、設定が無茶だからこそ面白く感じるわけです。

脇役(タクシー運転手、主人公の妻、その夫、etc)が、しっかり描かれていることも特筆すべき美点です。そこをおろそかにすると、主役も引き立ちません。最近は、脇役(の描き方)が雑な映画が多くゲンナリしてましたので、本作はより一層、素晴らしく感じましたね。

アンノウン2.jpg

第3の良い点は、上記と関係しますが名優ブルーノ・ガンツさんです。出番は少ないながら、映画を支えていましたね~。「ありえない話」を語る主人公の、少ない理解者となるユルゲンを演じています。

元東ドイツ秘密警察のメンバーで、人探しのプロ、という設定ですが、ガンツさんの、いかにもドイツ!という渋い存在感が抜群なんです(実際にはスイス人ですが)。

ブルーノ・ガンツ.jpg

ユルゲンが「敵」と対峙するシーンは、アクション皆無なのに緊張感バリバリ、映画のハイライトのひとつと言えます。ちなみにブルーノ・ガンツさんといえば、ヴィム・ヴェンダース監督の名作「ベルリン 天使の詩」の天使役がサイコーでしたね~~。数年前に、ヒトラーを演じていたのは余計だったかな?

ベルリン天使の詩.jpg

「アンノウン」、これ以上書くと、どんどんネタばらしになっちゃうので微妙ですが、ハリウッド映画らしく(?)、結果オーライ的ハッピーエンドである、とだけ申しておきましょう。

余談のツッコミ: 身分証明もできず行く先もない主人公が、女性タクシードライバー(ダイアン・クルーガー)に、「オレ、行くとこないので、あんたとこに泊めてくれ」と頼むシーン。これじゃあ新手の変質者だよ、お前・・・。って、それをOKする女性もどうかと思うが。

主人公の「敵」はプロフェッショナルをきどっているわりに、仕事の詰めがイマイチ甘い、という点はご愛嬌でしょう。「小さなことからコツコツと・・・」はサラリーマンをはじめ、組織の人間にとって座右の銘ですぜい。まあ、仕方ないか、人間だもの、みつを。

オチ的には、シュワちゃん主演「トータル・リコール」を思い出しましたけどね・・・おっと、そこまで言っちゃあいけません。

マーチン・ハリス博士の自分探し旅の結末、皆様もぜひ映画館でご覧くださいませ。そうそう、アクションシーンもなかなかのもんですよ。


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映画 2011年の期待のリメイク映画はこれ!「ロシアン・ルーレット」であります。 [映画]

映画サイトをチェックして、つくづく思いますが、最近のハリウッド映画ときたら、昔の映画のリメイク、TVシリーズの映画版、有名コミックスの映画化、ヒット作の続編、が実に多いですね。ゼロから映画を生み出す労力よりも、ヒットしたオリジナル作品をベースにすれば、楽ちんで集客も気込めるでしょ?みたいな安易さを感じます。

作戦は否定はしませんが、オリジナル作品を使うなら「どこを活かし」「どこを変えるか」、しっかり方針を絞って製作着手してほしいです。思想ゼロの焼き直しもつまらないけど、当ブログで紹介した「グリーン・ホーネット」(2010年)のように、グダグダコメディへのアレンジなど、オリジナルへの冒涜とも言えます。リメイク映画では、さんざんな思いをしてきたワタクシ、どうも評価が辛くなるのです。

20代、30代の映画ファンは「オリジナルを知らず」色メガネ無しに新作を楽しめちゃうでしょうから、むしろ羨ましいなあ・・・ああ、オヤジはいやだねえ(自分のことです)。

とはいえ、今後、公開(予定)のリメイク映画にもワタクシの大注目作はあります。当然ですが、リメイク版はまだ観ておりません。つまり「面白い」かどうかは保証の限りではありませんので、その点はご容赦を・・・。

「完成するのか?」と不安なのはオードリー・ヘップバーンの代表作「マイ・フェア・レディ」のリメイク計画。主役イライザ役に実力派キャリー・マリガンさんが決定したのは2年前。問題はヒギンズ教授役で、当初、ヒュー・グラントさんの名前が挙がっていました。しかし交渉難航したのでしょうか、いつまでも決定しないまま、ここにきて、「英国王のスピーチ」効果?か、なんと、コリン・ファースさんが急浮上。映画「ブリジット・ジョーンズの日記」のようなカケヒキ展開だ。こうなったらイライザ役も、レニー・ゼルヴィガーさんで良いんちゃうかあ?(年齢的に無理あるか・・・)

さて、今日の本題です。2005年のフランス映画「ザメッティ」(日本で2007年公開)を、ハリウッド・リメイクした原題「13」(←オリジナル映画の題名まま)、邦題「ロシアン・ルーレット」という作品であります。これが楽しみなんですねえ~~。

ロシアン・ルーレット 2011年米

監督 ゲラ・バブルアニ 出演 サム・ライリー、ジェイソン・ステイサム、ミッキー・ローク、ほか

ザメッティ.jpgオリジナル映画「ザメッティ」は、モノクロのインディース作品(自主映画)でした。公開当時は、アングラ的な扱いで限定上映ですが、公開したとたん、ハリウッドからリメイク申し込みが殺到した(らしい)スゴイ映画なんです。ワタクシは札幌のシアターキノという、小じんまりした劇場で拝見しました。

画面は60年代のヌーベルバーグ作品のような、ザラッと木綿の感触。淡々とした語り口ながら、主人公が巻き込まれる悪夢のような”殺し合い”への盛り上がり、脳天がキーンとなる緊張感。そして「オチ」のほろ苦さ・・・メジャー映画にはなかった良い意味の「手作り感」が堪らない名作であります。

(結局は、オリジナルの「ザメッティ」を褒めちゃう記事になっちゃいますね、スイマセン)

主人公は、貧乏な修理職人の若者。ひょんなことから内容不明の儲け話を知り、謎の手紙の指示にしたがい、好奇心半分で「そこ」に向かいます。目隠しされ、田舎の屋敷に監禁された彼に待ち受けていたのは、10名以上の「参加者」によるロシアン・ルーレット。そう、「ディア・ハンター」でデ・ニーロがやってた、あれです。回転式拳銃(リボルバー)に、1発、実弾を装着し回転させる。引き金を引き実弾が発射する確率は1/6。輪になって並んだ参加者は、前の相手の後頭部に銃を突きつけ、一斉に引き金を引きます。確率論的に、参加者の数名が死に、残りは生き残る。

これを、最後の1名になるまで続けるのです・・・生き残った1名だけが大金(賭金)を手にし、残りは全員死ぬと言う「デス・ゲーム」なのです。

この設定だけでもイヤ~な気分になるでしょうけど、映画「ザメッティ」の凄さは、ロシアン・ルーレット部分だけを煽情的に描いたのではなく(むしろ、その場面は淡々としている)、その局面に至るまでの映画的語り口、地獄の渦中に投じられた主人公の葛藤・・・といった”人間表現”の見事さにあります。

ザメッティ3.jpg

ちなみにオリジナル「ザメッティ」の主人公役は、監督の実弟らしいですが実にもう素晴らしい(てっきり、ヨーロッパで有名は若手俳優かと思ってました)。そして、脇役(ほとんどがオッサン)がまた、はまりに、はまりまくって、どうやったらこんな演出が出来たの?と目を疑いましたね。

ザメッティ2.jpg

さて、オリジナルの「ザメッティ」の話はこの辺にして。

2011年公開(予定)のハリウッド・リメイク版「ロシアン・ルーレット」

ザメッティ リメイク版P.jpgワタクシがリメイク版にも期待しちゃう第一の理由、それは、監督がオリジナル作品と同じくグルジア出身のゲラ・バルブアニさん、ということ。彼の美意識なくして、本作はありえないでしょって!

期待の第二の理由は、主演俳優です。

レオナルド・ディカプリオだか、ブラッド・ピッドだか、マット・デイモンだかの、いわゆるハリウッド・スターが演じるという噂もありましたが、私は大反対でした。主役は「屋根修理職人しているビンボーな若者」なんですよ。実生活と、演じる役は別とはいえ、一作で10億円以上のギャラを稼ぐ有名俳優に演じてほしくない!あのグダグダの「切羽詰まった感」は、有名ではない若手俳優に演じてほしい。

そんなワタクシの願いが届いたのか、主演はサム・ライリーさんに決定だ!おお、ナイス・チョイスじゃないか!(←それ、誰?と、ほとんどの方が思ってるでしょう、だから正解なんですよ)

ということで、6月公開予定の「ロシアン・ルーレット」おおいに期待いたしましょう!

お、そういえば、ジョン・カーペンター監督の名作ホラーSF「遊星からの物体X」もリメイク版ありとの噂ですが(YouTubeに予告編動画あり)、これはきっとツマラナイだろうなあ。あのヌメヌメした、キッチュで、スプラッターなテイストを、今のハリウッドで再現できるとは到底思えませんもの。そちらは、正直、期待ゼロであります。あっけなく。。。。


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映画 「ザ・ライト エクソシストの真実」、この手の映画にありがちと納得しようにも・・・いいかげんにせんかいっ! [映画]

GWです。GWといえば映画週間ですね(ワタクシが勝手に決めました)。当ブログも、3日に1回は更新できるか?うーん、無理ですね、無理だからやめましょう。

今日は、公開中の映画「ザ・ライト エクソシストの真実」について書きます。エクソシストとは、カトリックの悪魔払い師のことです。題名のライト(RITE)は「儀式」という意味ですね。で未見の方をガックリさせるかもしれませんが、過去のエクソシスト映画と比べ、本作には見るべきものは何もありません。ただしツッコミどころは満載です。映画を観終わった時、ワタクシはウキウキ気分でしたもの。なにせ、その後の1週間、本作の「ツッコミどころ」を肴に、仲間とおおいに酒を楽しみましたから!

半分皮肉(?)ですが、是非、この映画は観て頂きたいです。遊び心にあふれた方は、ルーカス神父ごっこ、もチャレンジください(室内で遊ぶときは、勢い余って壁に激突などしないようご注意を)。

さて、久しぶりにエクソシストを題材にした映画、「ザ・ライト」、どんなスゴいボケが隠されていたのでしょうか?

ザ・ライト エクソシストの真実 2010年米

監督 ミカエル・ハフストローム 出演 コリン・オドノヒュー、アンソニー・ホプキンス、アリシー・ブラガ、ほか

ザライトP.jpg名優アンソニー・ホプキンスさんが演じる凄腕エクソシスト(悪魔払い師)=ルーカス神父が、頭でっかちの青ビョウタン、マイケル神父とコンビを組み、少女にとりついた悪魔と壮絶な戦いを展開します。この悪魔、なかなか手ごわく尻尾を出しません。悪魔が出現した少女は、二重人格者のように卑猥な言葉を述べ、ふたりの神父を罵倒します。そのうえ神父のココロの傷をちゃっかり知っていて、ネチネチとそこを攻めてくるのです。(ああ、こうゆうヤツ、友達にはいてほしくないなあ!)

ベテランのルーカス神父も、この悪魔には手を焼いております。一回のエクソシズムで悪魔を払えませんので、少女は定期的に、神父の元へ通っているのでした・・・って内科の通院治療か!?

一方、若いマイケル神父は、さんざんっぱら科学で説明つかない怪異現象を目の当たりにしても、頑として悪魔の存在を認めようとせず、「少女は精神病だ、必要なのは宗教ではなく、医学的治療だ」と主張し、観客のわれわれをイラつかせます。だれだあ、こいつ、連れてきたのは?他に使えるヤツぁ、いなかったのかあ?と工事現場の監督気分になりますねえ。

そもそも、老練なベテラン & インテリ若手のエクソシスト・コンビという設定が、1970年代の名作「エクソシスト」(ウイリアム・フリードキン監督)の呪縛から逃れてないなあ、と思っちゃうのです。ベテラン神父を大物俳優が演じるのも伝統のようですね。「エクソシスト」では、なんと!あの名優マックス・フォン・シドーさんでした。ベルイマン監督作品以外で、はじめて彼を見ましたもん(驚いたなあ)。一方、「ザ・ライト」では、レクター博士ことアンソニー・ホプキンスさんです。演技は相変わらず胸やけするほどに「濃く」、もったいぶった仕草や表情は、日本だと平幹二郎さんか山崎努さんしか成しえない、まさしく”神の領域”でしょう。

もうひとりのエクソシスト=若手の神父を比較しましょう。「エクソシスト」では、陰気な雰囲気が魅力のジェイソン・ミラーさんが演じてましたが、「ザ・ライト」では真逆のアメリカーン・ヤングな、コリン・オドノヒューさんであります。どちらも、ベテラン神父ほど、どっぷりエクソシストではなく、どこかで迷いや疑いを持っている、という設定が共通ですね。ついでに顔が長い事も共通点?

ザライト2.jpg

こんなふうに、つい名作「エクソシスト」と比較しちゃうわけですが、決定的な違いがあります!

悪魔に憑かれた少女はリンダ・ブレアではありません(当り前か)。少女の首は180度回転(しません)、口からは緑の汚物(は出ません)、そして少女の体はベッドから浮きあがり(ません)。もちろんスパイダー・ウォークで階段を駆け下りたり(しません)・・・だめじゃん、それ。と、ガッカリするであろうフリードキン「エクソシスト」ファンのためでしょうか(?)、この映画、後半、とんでもない変化球を投げ込んでくるのです。

以下、思いっきりネタばれで恐縮ですが、書いちゃおうっと。

くだんの少女への悪魔払いは、結局、失敗し、少女は「悪魔の狙いどおり」死んでしまいます。いかにベテラン・エクソシストのルーカス神父といえども、がっくり凹んでしまい、ついには、神への信仰が揺らぎはじめます。そこを見逃す悪魔ではありません!

ザライト3.jpg

なんと、この後、ルーカス神父に悪魔がとり憑いてしまうんですねえ。えっ?そうくるの?

日本の諺でいえば「ミイラ取りが、ミイラになる」、今回用に表現すれば「エクソシストが、悪魔になる」(そのまんまやな)。映画的に言えば「アナキン・スカイウォーカーが、ダースベーダーになる」といったところでしょう。

悪魔とルーカス神父が手を組めば、裏(悪)も表(善)も知り尽くした強敵となります。にもかかわらず、彼の悪魔払いに挑むのは、前述の青ビョウタンこと若手マイケル神父であります。彼がエクソシスト学校で知り合った、女性ジャーナリスト(アリシー・ブラガ)がマイケルに加勢します。

でも、どう考えたって勝てないでしょ?ルーカス&悪魔軍には。だってマイケル君、大学卒業の肩書が欲しいために神学校へ入学した無神論者なんですから(卒業しても、神父になる気はないし)。当然、悪魔も、そこを鋭く突いてくるわけです。「神を疑う者が、何をほざく?」「それで俺を倒せるのか」と挑発します。

古びたルーカス神父の自宅一室で展開される、レクター博士・・・じゃなく、悪魔VSマイケル神父の戦いは、どんな決着を迎えるのか・・・とくにハラハラもせず、ぼんやり眺めていると、案の定、さんざん痛めつけられるマイケル君。ところが窮鼠(きゅうそ)猫を噛む、じゃありませんが、マイケル君の放った一言に、悪魔がタジタジとなり、いっきに形勢逆転だ!9回裏満塁逆転ホームラン!でも、そのマイケルの言葉も、わかったようなわからんような・・・「我れ思う、ゆえに我れあり」、そっちじゃなく、アリストテレス的なレトリックの世界でね。むしろ禅問答?

結果オーライ的に、悪魔との激闘に勝利したマイケル神父と女性ジャーナリストの若手チーム。文字通りに「憑き物が落ちた」ルーカス神父。ひと仕事終えた達成感に、全員、すっきりと爆睡し、さわやかな朝を迎えましたとさ、チャンチャン・・・って、修学旅行の枕投げじゃあるまいし、オレなら、絶対に、一秒たりとも、この家には居たくないよ!柱の陰にまだ悪魔がいるかもしれないじゃん!そんな懸念をものともせず、場面はすでに朝。洗濯したての真っ白なワイシャツでダンディーに決めたルーカス神父。

ラストはハリウッド映画にありがちな、ベテランと若手のユーモラスな憎まれ口合戦。締めに「元気でな」「いえ、あなたこそ」。笑顔で手を振る水戸黄門御一行様でしたとさ・・・おいおいっ、これで終わりか!

なんだか、スゴイ事になってますね。いいのかな、これで。

ザライト1.jpg

勢いでざっと書きましたが、本作のツッコミどころは、まだまだ、こんなもんではありません。どうか安心して劇場で楽しんでください。

しつこいですが(ホントにね)、たとえば、

ルーカス神父が、少女に悪魔払いをする場面。悪魔と丁々発止の口論をしている最中に、神父の携帯電話が鳴るのですが、神父、その電話に出ちゃうし!「今、それどころじゃないんだ!後でかけ直すってば!」って・・・おいおいっ!「悪魔払いの最中は、携帯電話の電源はOFFにするか、マナーモードにするように」って、電車の放送でも、しつこく言われますよね?困った神父さんだなあ、もう。

次。悪魔に憑かれたルーカス神父、椅子に縛りつけられてましたが、その縄をいとも簡単に抜け、マイケル神父を超人的な力で投げ飛ばします。しかし、相手が大けがしないよう、ちゃんと手加減してるんですなあ・・・うーん、気配りの悪魔だ。気絶したマイケル神父を尻目に、今度は、女性ジャーナリストを壁に追いつめ「悪魔の子種を植え付けたろか!」とか言いながら、激しくにじり寄り、スキンシップ、会社でやればセクハラ的行為・・・に及ぶのですが、いくら、体を押し付けてもね、相手はジーンズをはいたままだから、何も起きませんぜ、ダンナ。悪魔君の「挿入本気度」を疑ってしまいました。意外と世間知らずなのか?悪魔君に必要なのは性教育か?それとも悪魔君のナニは、先端が矢印みたいに尖ってて、ジーンズなど簡単に貫くというのか?それ、悪魔の「尻尾」のほうだよな・・・と、ボケの連鎖は続きます。

思い出すほど、ツッコミを入れたくなる「ザ・ライト エクソシストの真実」。結局、どこが真実だったのか、分からずじまいでした。邦題に問題ありか?

蛇足ですが、1970年代の名作「エクソシスト」の続編、「エクソシスト2」、やはり大物俳優リチャード・バートンが関西仕事を展開してて痛快だし、「エクソシスト3」ではパットン将軍ことジョージ・C・スコットが「なぜこの名優が、この映画に?」と疑問をぬぐえない大活躍と、両者必見であります!(個人的には「2」は酷いと思うけど、「3」は嫌いじゃありません)。

ここ10年に作られたエクソシスト映画だと、アンネリーゼ・ミシェル事件(実際にあった)を基にした法廷劇「エミリー・ローズ」が良かったです。弁護士役ローラ・リニーの頑張りが映画を支えました。ラストの、なんともほろ苦い感じ・・・。番外編は、映画「エンド・オブ・デイズ」で悪魔役だったガブリエル・バーン(顔が怖いよ)が、一転、神父を演じる「スティグマータ 聖痕」。こちらもヒマがあったらご覧くださいませ。

収拾がつかなくなったので、このへんで、さようなら。


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映画 「フェイル・セイフ」(邦題=未知への飛行)は、シドニー・ルメット監督の最高傑作です! [映画]

2週間に1回の更新・・・当ブログ、居心地良いペースに落ち着いてますねぇ~~。こんなグダグダにも関わらず、意外や読者がおられ、奇特な方から「もうちょっと、マメに更新でけへんの?」とご鞭撻をいただきました。しかしワタクシ、「人間なにごとも、自発性が大切っす!」と、新入社員向け訓示のような切り返しをするのです。あはは。

こんな担当者ですが、御社のために頑張りますので今後もよろしく・・・ってお得意さんとの名刺交換かよ?

さて、別の方からも、ご鞭撻いただきました。それは・・・

前々回の映画「パリ、テキサス」の記事は良かった。DVD借りて観た、すんごく良かった。ナスターシャ・キンスキー、最高だったねえ。と。

そして。

新作映画にチャチャもいいが、昔の映画をもっと紹介してはどーなの?と

うーん。ステキなアドバイスです。映画ブログって「新作」を取り上げると勝手に思い込んでましたけど、そんなシバリ、あるはずもない。さっそく本日、極私的に惚れ込んでいる「昔の映画」をご紹介しましょう(切り替え早っ!)。しかし小学校時代から”映画通”と呼ばれたワタクシ(←ここ自慢っす)、漠然と作品を選ぶと、紹介したい映画は百本を越しちゃいます。なんらか”絞り込みキーワード”が必要であります。

今月9日、アメリカの偉大な映画監督シドニー・ルメットさんがお亡くなりになりました(享年86歳)。ルメットさんといえば「12人の怒れる男」(懐かしいな~)、「蛇皮の服を着た男」「質屋」「セルピコ」「狼たちの午後」「ネットワーク」など硬派な作風で知られる名監督ですね。(個人的には「デストラップ、死の罠」「ファミリー・ビジネス」という”評判の悪い映画”も好きだけど)。

そこで今回、大好きなルメット監督作品に注目です。なんといっても「12人の怒れる男」が有名ですが、他のお薦め作品、というより、絶対に観てほしい1本をご紹介します。掛け値なしに素晴らしいです!「なんや、それ?」と思う(であろう)若い方にもぜひお薦めしたい。その作品とは・・・

FAIL-SAFE (邦題=未知への飛行) 1964年米

監督 シドニー・ルメット 出演 ヘンリー・フォンダ、ラリー・ハグマン、ウォルター・マッソー、ダン・オハーリヒーほか

映画ファンの間では、最悪の邦題として有名な作品です。「未知への飛行」って、この邦題つけたヒト、ほんとに映画を観たのでしょうか?ツボをはずすにもほどがあります。したがって、以下、原題「フェイルセイフ」を使わせていただきます。

未知への飛行P.jpg

1960年代の時勢を反映し、米ソ冷戦時代の「仮想核攻撃」を描いていますが、身の毛もよだつ、どころか後半なんて緊張で息止まるぜ、くらいのもんです。名優ヘンリー・フォンダさんが、あの顔で、アメリカ大統領を演じているのですが、この映画のスゴイところは、基本、戦闘シーンはゼロ。全編、大統領執務室、政府TOPの会議室で、ときおり挿入される爆撃機のコックピットと離着陸映像(撮影許可受けられずに盗撮したらしい)、そして、たぶんニュース映像からパクったのであろう爆撃機の飛ぶ様子が少々。そうです、「12人の怒れる男」の99%以上が、陪審員室で繰り広げられたように(ここでもヘンリー・フォンダがスゴい!)、映画「フェイルセイフ」も徹底した密室会話劇(後半は電話劇)なのです。

それでも、まったく不足を感じさせない、いや、だからこそスリリングで圧倒的インパクトを持つ作品になったと思います。映像はモノクロですが(当時すでにカラー映画が普及していたにもかかわらず)、暗めに強調された陰影が、本作にプラスに働いていますねえ。

ストーリーはいたって簡単です。不幸な偶然(必然?)が重なり、4機だか6機の編隊で飛んでた米軍爆撃機に「モスクワを攻撃せよ」と間違った命令が届いてしまう。攻撃とは、すなわちモスクワに水爆を落とせ、という意味であります。

そりゃあもう大騒ぎです。でも間違った指令なんだから、取り消そう、ね?ってなもんで、米軍司令部は爆撃機に命令の無効を伝えるんですね。ところが妨害電波だの(これ皮肉にもソ連が発信していたことが後で判明)、人的ミスだので、水爆を積んだ機は、どんどんモスクワに向かってしまう。

こりゃあマズイよ。

さて、ここで映画題名「フェイルセイフ」の用語解説です。われわれエンジニアが通常使う意味は「どんな最悪の事態でも、最後の安全策が働くように設計せよ」ですが(某原発事故でそれも形骸化した感はあるが)、この映画においては、さらなる”究極の意味”を持つのです。

フェイル・セイフとは「この一線を越えたら、後戻りはできない」、すなわち、アメリカ大統領から取り消し命令が出ようと、爆撃機のメンバーが疑問を感じようと、そのラインを越えたら初期命令(敵への攻撃)が遂行されてしまう、という限界点のことなんです。

そして水爆を積んだ爆撃機は着々と、その「フェイル・セイフ・ライン」に近づいている!

タカ派、ハト派が入り乱れ、激論が繰り広げられるのですが、とにかく、くだんの爆撃機(味方ですよ)を「撃ち落とす」ことが決定。しかし作戦は成功せず、数機を逃してしまう。

ついに、フェイルセイフラインを越えた爆撃機。ヘンリー・フォンダ演じるアメリカ大統領は、ソ連の首相にホットラインで電話し「ソ連への攻撃指令は当方のまちがいだ。我が軍の爆撃機を撃ち落としてくれ」とお願いします、が、ここでも1機をとりこぼして。。

未知への飛行1.jpg

もうダメ・・・。

モスクワは水爆で壊滅直前です・・・アメリカ政府の中には、これを機にいっきにソ連を叩きつぶし、アメリカで世界支配だあ、と暴論ほざくバカも現れ、うわあ、どうなるどうなる。

ワタクシも、ここでコメントをやめたいけど、新作映画じゃないのでネタばれ!で行きます。

アメリカ大統領は、モスクワのソ連首相に、こう伝えるのであります。

「頼むからアメリカに報復攻撃をしないでくれ。そんなことをしたら、報復の連鎖で、全人類が滅亡してしまう」

そして次がスゴイ。

「もしモスクワに水爆が投下されたら、アメリカはそれに見合う処置として、ニューヨークに水爆を投下する」

このシーンの、ヘンリー・フォンダの顔のアップ!苦渋の選択とか断腸の思い、とか、そんなもんじゃない。全面核戦争を回避するため、自国の大都市に水爆を投下・・・この決断。大声で叫ぶでも、机をたたくでもない、静かな演技に、かえって凄味が漂います。どうです、名優の、稀代の名演技とはこれですよ、これっ!

観客の緊張もここに極まれり。呆然つーか、唖然つーか。

そして、ラスト5分。さすがにそこまでのネタばれはいたしません。さあ、モスクワは、ニューヨークは、いったい、どうなると思いますか?

偶然なのか、本作と時同じくして、同じテーマかつ同じくモノクロで、スタンリー・キューブリック監督が「博士の異常な愛情」という映画を作っています。これも大好きな作品ですが「博士の・・・」はブラック・コメディ。ピンク・パンサーのクルーゾー警部ことピーター・セラーズが映画史に残る(であろう)名演技をご披露しています。ちなみに、ラストはキノコ雲。

それとは全くテイストが異なる、超シリアスな「フェイルセイフ」。しつこいですが、ラスト、どうなっちゃうと思います?

てなわけで、大好きな「フェイルセイフ」を熱く(暑苦しく?)語った満足感。ブログってストレス解消に最高のツールですねえ、って、自己満足かよ!?つーか、ワタクシにストレスないし。

あーーーっ、大変なことを忘れていました。

本作で大統領補佐の通訳(かな、記憶あいまい)という重要な役を演じている俳優が、あの、ラリー・ハグマンさんなのであります!ん?知らない?無理もありませんねえ。昔の話、そのうえ、俳優名を知らない方が圧倒的に多いでしょう。アメリカのTVコメディ(30分もの)に「可愛い魔女ジニー」という、ツボに暮らすチャーミングな魔女が恋人というハナシがありまして。ハクション大魔王?バリエーションみたいですが、破天荒な魔女ジニーに翻弄される主役男性こそが、ラリー・ハグマンさん!

はいっ、この写真を見て、「ああ、彼ね」と思い当った方、友達になりましょう。再放送しないかなあ。

ラリーハグマン.jpg

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映画 「ザ・ファイター」拝見。「ロッキー」の感動を超える名キャストの名演技に震えました! [映画]

「ザ・ファイター」を観ました。2011年アカデミー賞では作品賞は逃したもののバットマンことクリスチャン・ベイルさんが助演男優賞、メリッサ・レオさんが助演女優賞をゲットしました。ずばり猿でも分かる感動作であります。

この記事を読み終わったら、未見のかたは、即、映画館に出向き本作をご覧いただきたい。ドロドロ家族模様と、それをバネに(?)ボクシングで頂点を目指す主人公の姿に、お約束と分かっていても、ガツン!とノックダウンされることでせう。

ポスターからは「ありがちスポーツ根性もの」を予想したワタクシですが、とんでもない。出演者の鬼気迫る演技(とくにクリスチャン・ベイル!)が、本作を、お涙頂戴ではない深遠な人間ドラマに高めたのであります。うーん、われながらカッコ良い表現だ、と自画自賛。

名演技のクリスチャン・ベイルさん、エイミー・アダムスさん、メリッサ・レオさんを筆頭に、演技微妙ながらマーク・ウォールバーグさん(一応主役です)が相まみえる「普通でエキセントリックな」物語に、ぶるっとくることでせう。

ザ・ファイター 2010年米 

監督 デビッド・O・ラッセル 出演 マーク・ウォールバーグ、クリスチャン・ベイル、エイミー・アダムス、メリッサ・レオ ほか

ザファイターP.jpgボクシング映画といえば、デ・ニーロ主演&スコセッシ監督の「レイジング・ブル」を真っ先に思い浮かべるワタクシです。もちろんスタローンさんの「ロッキー」シリーズも、変わり種として女子ボクシングのイーストウッド監督「ミリオンダラー・ベイビー」も素晴らしかった。名作かは別として、日本でも「あしたのジョー」が今年公開されましたね。

ボクシングという競技に対し、われわれは勝ち負けの結果だけでなく、「忍耐」「克己」「自己犠牲」といったストイックな精神性を見出してしまうのでしょう。スポーツというには、あまりにプリミティブな「殴り合い」ですから、その”生理的痛み”は、映画ネタとしてはうってつけです。

本作「ザ・ファイター」は、そうしたボクシング映画の本質をキッチリ把握しつつ、抜き差しならない家族愛というフレーバーを加えたのが新機軸であり、見事にはまった、というわけですね。

ミッキー・ウォルド(マーク・ウォールバーグ)は田舎の三流ボクサー。連戦連敗の彼が、ボクシングを続けるのは、自らののぞみではありません。かつての栄光にしがみつく元プロボクサーの兄ディッキー(クリスチャン・ベイル)、息子のマネージャーを決め込み悦に入る母親(メリッサ・レオ)、そして6人の姉妹たちの過剰な期待を受け、ボクシングを止めることが出来ないのです。

家族の「濃すぎる愛情」はミッキーをがんじがらめにします。口応えのひとつも出来ません。そのうえ兄ディッキーは、コカイン中毒で身も心もボロボロ。刑務所を行き来する札付きのワルで、周囲も持て余しています。

うつうつとした日を送るミッキーは、酒場で働くクリスティーン(エイミー・アダムス)と知り合い恋に落ちます。クリスティーンは、ミッキーを支え「家族と手を切り、自分の正しいと思う道を進む」ようアドバイスします。そんなとき、兄ディッキーが窃盗事件を起こし刑務所へ・・・ミッキーまでケンカに巻き込まれ拳を痛めてしまう。こうして、彼はいよいよ人生の岐路に立ちます。

ザファイター1.jpg

さてこの映画。

よくある話ですが、出来の悪い家族が全員そろって、唯一出来のよい息子(あるいは娘)に期待をかけちゃうパターン。本人にとっては重荷以外のなにものでもない。ところが、「良かれと思って彼を応援」している家族は、本人の自発性などくそくらえ!ってなもんで、とにかく押しつけがましい言動を連発します。ああ、恐るべしはベクトル違いの家族愛・・・。

本作は、家族の呪縛から脱却して、自らの意思でボクシングへ向き合い、頂点を目指す主人公ミッキーの「成長物語」なのですね。

ザファイター3.jpg

しつこいですが、映画中盤、ストーカーまがいの家族愛に、観ているコッチまでイライラ~ムカムカ~とフラストレーションたまりっぱなし。悪役?の母親=メリッサ・レオさんと、兄役=ベイルさんの芝居があまりにも上手いんだもの・・・こんなバカ親、バカ兄は、一発ブン殴ってやれ!と主人公に声をかけたくなります。ところが物語は(ある意味、予想どおり)、暴力で何も解決はできないよ、「愛の力」こそすべてだよ、という、KANの歌(懐かしいなあ)の世界に進むのであります。

アツレキがあったからこそ、より強固になる家族の愛と絆!

本当の意味で、「家族一丸となって」目指せ、栄光!

それまでクズ?だった面々が、後半「いい人たち」に変貌(改心?)するのはアザトイけど、このさい、良しとしましょう。

お膳立ては出来ました。

こうなったら、主人公は「てっぺん」取るしかないでしょ!・・・って、この映画は「クローズ ZERO」かよ?

クライマックスは怒涛のファイト・シーン。ミッキー、恋人クリスティーン、家族たち、そしてわれら観客の「想い」がひとつになって世界タイトルマッチに挑む主人公。ガンバレー!ガンバレー!完全に肉体を作りこんできたマーク・ウォールバーグさんの独壇場であります。この俳優さんも、昔はワルで名が通っていました。映画のストーリーと、本人の人生が重なり合ってる・・・深読みかな?

忘れてはいけません。ディズニー映画「魔法にかけられて」で三十路お姫様を怪演したエイミー・アダムスさんが、意志の強い恋人役で大健闘でした。いまや演技派の誉れも高く、今後は、スーパーマンの恋人役や、ジャニス・ジョプリンの伝記映画で主人公をつとめるといいます、期待しちゃうなあ。。

ザファイター2.jpg

そしてもう一度、クリスチャン・ベイルさんを賞賛しちゃいましょう。「マシニスト」では役作りのために30kg減量したバカ役者・・・じゃなく、役者バカの彼。今回、麻薬中毒者を演じるために10kg以上減量し、頭髪を抜くまでしての大熱演。「太陽の帝国」の子役時代からファンであるワタクシは、彼の役者魂に感激ひとしお。これなら「英国王のスピーチ」のジェフリー・ラッシュさんに打ち勝ってアカデミー助演男優賞受賞も納得であります。

蛇足ですが、ミッキーが世界タイトルマッチで入場テーマに使った曲こそ、ワタクシが大好きなホワイトスネイクの名曲「HERE I GO AGAIN」です!大一番にのぞむ兄弟が目を閉じ、場内放送に合わせ歌詞を口づさむシーンにワタクシは泣きましたよ!いったい、どんだけ盛り上げるんだよって。デヴィッド・カヴァーデル御大、あなたの歌声は世界を変えますねっ!(曲を聴きたい方は→ここをクリック

素晴らしい映画を、ありがとうございました!

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映画 「ツーリスト」 アンジーと、ジョニデの共演ですから、ツッコミもほどほどに・・・・ [映画]

約1か月ぶりに新作映画を拝見しました。春休みシーズンのせいでしょうか、お子様向けアニメが幅をきかせ、徒歩圏内(千葉県松戸)のシネサンシャインに選択肢がほとんどなく、消去法的に「ツーリスト」を拝見しました。

ジョニー・デップと、アンジェリーナ・ジョリー(語感が好きで、最後に「ナ」をつけてしまいます)という、ハリウッド二大スター「初」共演がフレコミであります。しかし、こうゆう話題作にこそ、危険(=滑り)の匂いを嗅ぎっとってしまうワタクシ。ああ、怖いなあ。

さて、映画を観た結果は・・・・。

ツーリスト 2010年米

監督 フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク 出演 ジョニー・デップ、アンジェリーナ・ジョリー、ポール・ベタニー、スティーヴン・バーコフ、ディモシー・ダルトン他、

ツーリストP.jpg観終わった感想は「お?意外に面白いじゃん」。ただし、これってジョニデとアンジーというビックネーム共演の「プラスポイント」を加えての評価です。

率直に映画(の展開とオチ)だけみると「責任者、出てこい~!」と叫びたくなる、かなり強引マイウエイな作品なんですねえ~。近頃の映画ラストって、どんでん返しどころか、二段オチ、三段オチ、と「ひねり」がエスカレート傾向にありますが、本作など、究極ではないでしょうか。

うーん、モノゴトには限度、つーものがあるのではないかな・・・日本は自粛ムードですが、ハリウッド映画関係者には、このタイプの強引さを自粛してほしかったりして。

アメリカ人数学教師フランクは、妻を交通事故で失い、傷心を抱えベニスにやってきたツーリスト(旅行者)。長距離列車の車中で、謎の美人エリーズからナンパ・・・いや、声をかけられ食事を共にした彼。ベニスではエリーズから最高級ホテルへと誘われ、次第に彼女の虜となっていきます。

新宿だったら100%、美人局(つつもたせ)という状況ですが、フランクが巻き込まれたのはもっと大きなトラブル(規模の大きな美人局、という意味ではありません)。組織から20億円近い大金を持ち逃げした男と間違われ、殺し屋から逃げまどうはめに・・・エリーズとは何者なのか?自分を道具に使ったのか?しかし殺されかけたところを、エリーズに救われ混乱するフランク・・・。

ツーリスト1.jpg

エリーズ役のアンジェリーナ・ジョリーさんは「ソルト」を彷彿とさせる沈着冷静なクール・ビューティっぷり、さすがの貫禄です、魅せてくれますねえ。一方、彼女に"スカウト"されるフランク役ジョニー・デップさんはいつになく「普通の役」でして、映画中盤までは違和感が否めず。グダグダな海賊船長ジャックや、剃刀で人殺ししまくる理髪師、白塗り顔の帽子職人と、エキセントリックなイメージが定着していただけに、一般市民のジョニデは微妙かな、なんてね。

映画のストーリーですが、推して知るべし、フランクとエリーゼの間には恋心が芽生えます・・・おいおい、簡単にそうなるかよ?などとツッコミはいけません。これこそ「映画的お約束」ですから。ここは大人の対応をお願いしますね。

ツーリスト3.jpg

そして、20年前ならいざ知らず、これだけの情報化社会で、一般市民(数学教師)と国際手配犯を勘違いするなんて、到底、受け入れられない設定だぜ!と鼻息荒くしましたが、そこまでは滑っておりません。フランク君は意外に早く身の潔白が証明されます。あー、よかったね、アメリカに帰国しチャンチャン・・・って、それじゃあ、ジョニー・デップに大枚の出演料を払った意味ありません。

そこでフランク君、突然「男気」を発揮して、にわかスパイよろしく白いタキシードで、自ら渦中に飛び込んでいくわけです。このあたりから、不穏な盛り上がりを見せる本作。

これ以上はネタばれ・・・ある意味、ナンセンス・コントの世界ですから多くを語りませんが、言い出したホラは引っ込められない、とばかりエリーズ、フランク、悪党の面々、警察が一か所に集合し大団円を迎える、とだけ申しておきましょう。

それにしても、ワルなギャングの方々ったら、いかつい顔のわりに「脇が甘い」しねえ、どうよ、それ?まあ、いちいち、目くじら立てる映画じゃないから、しつこくカラむのはやめましょう。

強いて本作の良い点といえば、ベニス旅行に行った気分になること

それと、ジョニー・デップさんのグダグダなパジャマ姿を拝見できること。

そうそう、脇役には大感激でした。何代目か忘れたけど、007シリーズで2作だけジェームス・ボンドを演じたティモシー・ダルトンさんが、諜報組織のボス役で登場しています、ウオー!007として世界で活躍後に現場を離れ、管理職になっていたんだね・・・なんて裏ストーリーを妄想したりして。

ギャングのボス、ショーを演じているのが、これまた、007シリーズに登場していた、スティーヴン・バーコフさんです!演劇で有名な方ですが、典型的な悪党面が幸いし(?)、今回もきっちりと敵役を熱演です。いやあ、迫力がありましたねえ。

ツーリスト2.jpg

さらに嬉しいのは、いかにも「主役の引立て役」を演じたポール・ベタニーさん。現場責任者の警部ながら仕切りがイマイチ、あぶなっかしい感じが、実に情けなくナイスな味わいです。ベタニーさんの過去最高のはまり役は「ドッグ・ヴィル」の偽善的な村の男、お前のせいで村が無茶苦茶になったじゃねえか!とニコール・キッドマンでなくても怒り狂うわけですが、あのダメダメ男テイストが、本作「ツーリスト」で完全復活!そう、映画の中のセリフじゃないけど、「君の居場所はここしかない」って。あはは。

007カラミの2名を出演させたり、ポール・ベタニーさんの涙目を効果的にまぶしたりと、細かい点にもそれなり気をくばった映画なのですねえ。

・・・と好材料ゼロではないものの、「そりゃ、ないっしょや!」と北海道弁でツッコンでしまう、結局はそんな”話題の迷作”でありました。ちゃんちゃん。


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映画 「パリ、テキサス」 私の最愛の映画といえば、断然、これであります。 [映画]

関東はまだ余震が続いており、1日に数回、建物が揺れます。映画館に行くのはちょっとばかり控えているところです。

封切り中の新作について書けないので、昔観た大好きな映画について書きます。

「今までに観たなかで、最も感動した映画は何ですか?」と聞かれて、皆さんんはすぐに答えられますか?躊躇がありませんか?私なら、その問いに対し、即座にこの作品をあげます。それほどに、ワタクシは本作を愛しているのであります。

その映画とは「パリ、テキサス」です。

パリテキサスDVD.jpgヴィム・ベンダース監督の1984年(ドイツ・フランス)作品。同年、カンヌ国際映画祭で最高賞(パルム・ドール)を獲得した名作ですが、ワタクシには受賞歴などどうでもよく、とにかく、猛烈に感動したってことです。観たのは1987年か1988年、場所は新宿の映画館でした。カンヌ映画祭 受賞作品特集みたいな企画で、ほかに、「ミッション」や「路(トルコ映画?)」が上映されていました。

さて、「パリ、テキサス」という映画。

舞台はパリ(フランス)ではなくアメリカ。焼けつくようなテキサスの砂漠を、トラビスという男がさまよっている場面から始まります。妻ジェーンに去られ、幼い息子と別れ、呆然自失で4年間を放浪していたのです。気力も体力も失った状態で発見されたトラビスは、弟夫婦に保護されますが、記憶すら失くした廃人のような兄に、弟は愕然とします。

これが「さわり」なのですが、何と言えば良いのでしょう、普通の娯楽作品のような「映画的展開」が、本作にほとんどありません。この先、いったい何がどうなるのやら、この調子が続くのか、と不安にさえなります。ドラマチックな展開や、いかにも、という泣かせ場面が挿入されるわけでもなく、あくまでも淡々、とつとつと物語が進みます。

そして全編を覆うのはライ・クーダーさんのスライド・ギターの音色。登場人物によりそうように、渋く、けだるく、ツボにはまりまくりですよ!(音楽は、見事な貢献をしています)

次第に回復したトラビスは、再会した息子(子役がいい味出してる)と心を通わせ、自分のもとを去った妻を探す「旅」に出ます。それは失った家族の絆を修復する道のりなんですね。ちなみに、山場のひとつであるこのシーンさえ、トラビスの強い決意表明があるわけでなく、淡々・・・と映画は進行します(観客の2割は爆睡?)。

クライマックス。最後の最後に、トラビスの別れた妻ジェーンが登場します。ここがスゴイ。演じているのがナスターシャ・キンスキーさんなんです。素晴らしい美人。ポスターに思いっきり写真がのってますから、妻役が彼女であることはバレバレなのに、スクリーンに彼女が登場した瞬間に、はっと息をのむ”空気の変化”が生じましたね。幼稚な表現ですが、うおお、出たあっ!って感じかなあ。

パリテキサス3.jpg

トラビスとジェーンの再会は、あまりにもイビツな形で果たされます。再会と言えるのかも分かりませんが、ここから人物の動きがほとんどない二人の「会話」と「表情」だけのドラマになります。時間にして10分もないシーンと思うのですが(20年以上前で記憶曖昧、すいません)、すんごい濃密な空気の中、短い時間に、淡々と語られる、「愛」の形、「人生の不条理」「絶望感」、もがき、苦しみ、それでも生きる意味・・・それらがバンバン心に響くわけです。

もう、どんな言葉を連ねても、ワタクシの思い入れを表現できないくらい素晴らしいんです。ナスターシャ・キンスキーさんも絶品。全身、ブルブルするくらいに。

この時点で完全ノックダウン、精神的にメロメロにになっちゃうワタクシでした。

パリテキサス1.jpg

ボーボーと涙を流したワタクシは、映画が終わっても涙が全然止まらないのです。なぜなら、映画の内容へ感動しただけでなく、「このような素晴らしい映画を、人間が生み出すことが出来た」ことへの感動、すなわち「映画の可能性」に心打たれたからです。「パリ、テキサス」は、それまで自分が観た映画とは、本質から違う世界だったんです。

カッコ良く言えば、この作品を観たから、ワタクシは胸をはって「自分は映画が好きだ」と言えるようになったんです。

魂を揺さぶられる体験をワタクシに与えてくれた、監督のヴィム・ベンダースさん、脚本のサム・シェパードさん、音楽のライ・クーダーさん(最高!)、出演者たち、とくにナスターシャ・キンスキーさん、もう本当に感謝しております。本作を観てから、早いもので20数年が経ちました。その間、1500本を超える映画を観てきたワタクシですが、やっぱり「パリ、テキサス」は自分にとってのベスト・オブ・ベストなんです。

パリテキサス2.jpg

で、ほんと、オレってバカだよなあ、と思ったこと。この文章を書きながら、「パリ、テキサス」のシーンを思い出し、今、ボーボーと泣いているのであります。どうかしてるぜ、オレ。涙線弱すぎ。あほかいな。

余談ですが、ワタクシがやっているもうひとつのブログ「門前トラビスのつぶやきピロートーク」ですが、門前トラビスの「トラビス」は、「パリ、テキサス」の主人公の役名からいただいたものであります。ハイ。


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映画 「ヒアアフター」 ・・・観る前に、上映中止となりました。 [映画]

観ていない映画をテーマにとりあげるのは、当ブログで初めてかもしれません。

映画「ヒアアフター」について書きます。

クリント・イーストウッド監督 マット・デイモン主演のアメリカ映画で、2月19日から全国公開されていました。前売券を購入していたものの、なかなか行く機会がなかったのです。

そして、拝見できぬまま、3月14日、本作は上映中止となってしまいました。

中止の理由は、「大津波と、それによる大被害」のシーンがあるからです。東北関東大地震の被害の大きさを鑑み、配給会社が上映”自粛”したのです。

私は映画配給会社の判断を否定はいたしません。しかし、一方で、素直に首肯しかねる点もあるのです。

ヒアアフターP.jpg

映画自体を観ていないので、はがゆいですが、本作は津波を煽情的に扱った「パニック映画」ではなく、災害に遭遇された方の”魂の救済”の物語、と考えています。もちろん大津波に流される街や人々が映像として描かれますから、決して気持ちの良いものではありません。しかし、それを即物的な「売り」にしている作品ではない(はず)です。

映画の姿勢や内容まで考えた時、「津波シーンがあるから上映中止」とは、世間からの批判を恐れた自衛的・保身的な決定とも感じました。

ヒアアフター2.jpg

TV放送ならば、集会所や待合室でTVをつけっぱなしにしていたら、映像や音が勝手に目や耳に飛び込んできます。好むと好まざるとにかかわらず、放送を見せられるのです。したがって時節を踏まえ「放映して良いもの、悪いもの」の判断は厳しくなると考えます。

しかし、劇場公開中の映画の場合、1800円なりの料金を出し、観る側が積極的な意思をもって映画館に出向くわけです。もちろん、映画の内容を何も知らずに観てしまった、あんなものは観たくなかった、という観客もいるでしょうけど、「未知の内容を知ろう」という能動的な行為なのです。

「見せてしまう」TV放映と、「観ようとして観る」映画館上映は、おのずと違う、と思うのです。

ヒアアフター1.jpg

話をややこしくしそうですが、「ヒアアフター」の上映中止に対し、現実に未曾有の大災害が発生した今、無理からぬことと私は理解はします。関係者の方々も、苦渋の決断だったことでしょう。

言いたいのは、こうした”自粛”が、世間の批判を恐れるあまりに「自粛の連鎖」を生むことを懸念しているのです。極論を言えば、津波や地震の場面がある小説やコミックは焚書されて発禁処分。原子力発電所のトラブルを描いた映画(たとえば、「チャイナ・シンドローム」など)はDVD発売禁止。

TSUNAMI、という曲も、もしかして放送禁止になるのでは?

こうなると、被災者の方々への心遣いというより、過剰なアレルギー反応から生まれる「言葉狩り」「映像狩り」の様相を呈してしまいます。

これから日本はなんとか復興に向け、力を合わせねばならない時です。多くの方々の悲しみを、いたずらに刺激することはあってはなりません。さりとて、度を過ぎた自粛や、言葉のはしをとらえて揚げ足をとったり、「臭いものにはフタ」という方向ばかりでは、建設的なものを何を生み出せなくなってしまいます。企業も、個人各人も、どうか品性とバランス感覚を保って前向きに進んでほしい。

この時期に、暴論ともとれる記事になりましたが、最後に補足しますと、アメリカでは映画「ヒアアフター」のDVD売上金の一部を、日本の復興支援にあてることが決定したそうです。

アメリカの映画人たちの懐の深さを知り、この記事を書こうと思った次第です。では。


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2011年3月11日の東北関東大地震による影響は・・・ [映画]

3月11日(金)午後、出張先の大阪で会議中だったワタクシは、ビルがぐらりと揺れたのを感じました。オフィスは騒然となり、その後、TVやネットで明らかになる東北地方沿岸を襲った大津波と、その被害に驚きました。さらには福島の原子力発電所のトラブル・・・と、ここ数日、文字通り大揺れの日本です。

私の自宅(千葉県市川市)はまだ停電してませんが、首都圏では電車が運休したり、大幅な本数減少のため通勤もままなりません。とはいえ、被災された皆様のご苦労と心痛を考えれば、この程度の不便などガマンの範疇です。津波直撃地域は、復旧・復興に時間がかかると思いますが、日本人の粘り強さと結束力で一緒に危機を乗り越えたいものです。

さて、一応、映画のブログですので、当方の自宅界隈の映画館について調べてみました。やはり地震の影響は大きいです。道路が陥没するなど、首都圏で最も被害の大きかった浦安市では、ディズニーランド隣接のシネコン「シネマイクスピアリ」が休業しています。 以下はイクスピアリのHPより。

イクスピアリ.jpg

また、東西線妙典駅近くのワーナーマイカル市川妙典も、映画館は休業中。建物の安全確認という理由のほかに、電力供給不足への対応でもあるのでしょう。以下は同館のHPより。

ワーナーマイカル.jpg

一方、3月26日公開予定だった映画「唐山大地震」は、予想どおり上映が延期となりました。内容が内容なだけに、この時期の公開はさすがに出来ないですね。以下は幕張シネプレックスのHPより。

唐山大地震.jpg

こうした上映延期や中止のケースは意外に多く、思い出すのは、1977年、無差別大量テロを描いた映画「ブラック・サンデー」。上映館の爆破予告と、当時の政治情勢を鑑み、公開直前に上映中止となりました。その後は一般公開もなく”お蔵入り”。悔しかった!(ちなみに、「ブラック・サンデー」の原作者トマス・ハリスさんは、その後、「羊たちの沈黙」でハンニバル・レクター博士というダーク・キャラを生み出します)

2001年、アメリカで起きた同時多発テロを受け、映画「コラテラル・ダメージ」が1年間の公開延期という事件もありました。いろいろな事があるものです。

まあ、そんな豆知識は良いとして。

話は戻りますが、まずは大地震被災者の方々への救援そして復興。ワタクシも協力したいと思う次第です。そして、このようなツライ時こそ、音楽や映画が心を癒してくれるという意味では、映画館や音楽ホールの再開も、切に願うものであります。


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